東日本大震災ではライフラインや物流関連施設の被害により、サプライチェーンのぜい弱性がクローズアップされた。地震に備えて工場など保有施設の耐震化をいくら進めても、電気などライフラインが途絶したり、港湾、道路、鉄道など交通インフラが寸断すれば、企業努力が及ばないところで事業がストップしてしまう。
こうしたケースに対して合理的な判断基準を提供するのが地震リスクマネジメント(SRM)だ。
◇SRMの有効性・必要性を周知
SRMは地震による被害をしっかりと予想し、財物損失額(復旧のための費用)、事業停止期間、逸失利益(地震が起きなければ得られたはずの利益)など、企業総体としての地震リスクを推計し、どこに問題があるのか、何が致命的な被害を及ぼすもととなったか、事業停止が長期化する原因は何か、を特定する。
そして、対策によるリスク低減効果と対策に必要な費用を比較し、地震対策の実施判断を行う。
SRMは企業の経営リスクの管理という観点から、防災対策の意思決定支援を行う体系化された実践技術といえる。
本書はこうしたSRMの有効性・必要性を広く知ってもらい、国民の利益・福祉のよりどころである経済活動を守り、次世代に継承することを目的としている。 (丸善出版・2940円)
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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