2013/10/25

【新国立競技場】経費試算は3000億!  「縮小の検討が必要」下村文科相

下村博文文部科学相は23日の参院予算委員会で、新国立競技場について、「デザインコンクールで最優秀作品となったザハ・ハディド氏のデザインを忠実に実現する形での経費試算は、約3000億円に達する」ことを明らかにし、「あまりにも膨大な予算がかかりすぎるので縮小する方向で検討する必要がある」との考えを示した。また、「デザインそのものは生かす。競技場の規模はIOC(国際オリンピック委員会)基準に合わせる。周辺については縮小する方向で考えたい」とした。最寄り駅と競技場を結ぶ通路や周辺の回廊の縮小、検討段階にある商業施設・博物館など付属施設の一部見直しや簡素化などを俎上(そじょう)に載せる見通しだ。


◇デザイン維持 付属施設一部見直し

 新国立競技場は、2019年日本開催のラグビーワールドカップメーン会場、20年東京五輪の主会場として、現在の国立競技場(新宿区)を総延べ約29万㎡、収容人数8万人規模で、開閉式根、一部可動式の観客席を備えたスタジアムに改築する。総工事費は、デザインコンペ時点で1300億円を見込んでいた。
 国際デザインコンペで選ばれた建築家のザハ・ハディド氏のデザイン案を採用し、フレームワーク設計業務を日建設計・梓設計・日本設計・オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッドJV、発注者支援業務を山下設計・山下ピー・エム・コンサルタンツ・建設技術研究所JVが担当している。
 日本スポーツ振興センターでは、フレームワーク設計の中で規模・コストを含めた基本設計に向けた条件整理を行っている。今後、今回の予算縮小も含めた条件整理が固まり次第、「国立競技場将来構想有識者会議」に諮った上で、基本設計に着手する。現時点では、今年度末まで基本設計を進め、来年4月から実施設計に着手する予定。14年7月から 解体に着手し、新国立競技場は15年10月着工、19年3月完成を目指している。
 新国立競技場建設をめぐっては、建築家の槇文彦氏が日本建築家協会(JIA)の会誌『JIA MAGAZINE』8月号(295号)に投稿した論文「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」で建設計画やコンペのあり方に疑問投げかけたことを発端に、建築家有志によるシンポジウムが11日開かれ、再検討を求める要望を出す方向などが示されていた。
 また、日本建築士会連合会が計画の見直しを求める要望書を提出することを機関決定し、三井所清典会長は「関係団体が共同歩調をとった方が効果がある」との考えも示している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 妹島、アントン、塚本、藤本、近藤各氏が語る/ベネチア・ビエンナーレを振り返るディスカッション イタリア大使館とイタリア文化会館が、UIA関連イベントとしてシンポジウム「日本におけるヴェネツィア・ビエンナーレ:建築家 妹島和世セミナーとパネルディスカッション」を開いた。  シンポジウムは、昨年イタリアで開かれた「第12回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展」を題材に、展覧会の総合ディレクターを務めた妹島氏が、展覧会場で撮影したスライドを使って主な成果や特徴を説明した。  パネルディスカッションでは同展に出展した建築家、スペインのアントン・ガル… Read More
  • 関西建築家大賞に矢田朝士氏/JIA近畿 ES house-01(撮影:絹巻豊)  日本建築家協会近畿支部(JIA近畿、小島孜支部長)は、第11回関西建築家大賞の審査結果を発表した。受賞者は矢田朝士氏(ATELIER-ASH)で、『ES house-01』と『ES house-02』が受賞対象作品となった。12月に開く記念イベントで表彰する。 同賞は、近畿支部会員を対象に、優れた建築活動をしたと認められた建築家に贈られる。建築作品の審査は、過去10年間に竣工した建物2点が対象とし、… Read More
  • 西アフリカに被災者向けの日本人村を建設!/伊のコンサルタントと建築家の山下和正氏ら  東日本大震災の被災者向けに、アフリカ西側の大西洋浮かぶ「カーボベルデ共和国」に日本人村を建設するという構想が持ち上がっている。提案者は、イタリアの空港建設コンサルタント、ハンス・フィッシャー氏。過去にカーボベルデ共和国の国際空港建設に参画した経験を生かし、同国に日本人村の建設を働き掛けようと、建築家の山下和正氏と東京工業大学の奥山信一准教授に声を掛けた。 山下氏は「ニーズは不明だが、被災者自らが人生を再構築する選択肢の一つとして、このような… Read More
  • 美術館の常識を覆す光あふれる展示室/西沢立衛氏設計の「軽井沢千住博美術館」がオープン 軽井沢の自然の中を歩くように、太陽の光が降り注ぎ、土地の記憶を残す傾斜した床--。およそ1500㎡の平屋の大空間を創出した新しい美術館「軽井沢千住博美術館」が10日にオープンした=写真。日本画家、千住博さんの作品を集めた美術館で、設計は、建築家の西沢立衛氏。作品への影響から自然光は避けるのが美術館の常道だが、千住氏の要望で、ガラスの壁とガラスに囲まれた中庭を使うことで、美術館の常識を覆す光あふれる展示空間が広がっている。  千住氏は日刊建設通信… Read More
  • 磯崎新氏が問題提起!建築学会が建築夜楽校「3・11以降の日本」 建築文化週間の一環となる「建築夜楽校2011」が6日、東京都港区の建築会館で開かれた。「3・11以降の日本」を全体テーマに、国土・災害・情報(分析編)と題して、震災の状況を踏まえながら新しい都市、社会の構築方法を話し合った。主催は日本建築学会。  建築家の磯崎新氏は、「日本の近代のすべてを象徴している」という、骨組みだけが残された宮城県南三陸町の防災センターの写真を背景に、近代の都市の弱さを指摘した。  磯崎氏は「都市計画や建築計画など、計画そ… Read More

0 コメント :

コメントを投稿