下村博文文部科学相は23日の参院予算委員会で、新国立競技場について、「デザインコンクールで最優秀作品となったザハ・ハディド氏のデザインを忠実に実現する形での経費試算は、約3000億円に達する」ことを明らかにし、「あまりにも膨大な予算がかかりすぎるので縮小する方向で検討する必要がある」との考えを示した。また、「デザインそのものは生かす。競技場の規模はIOC(国際オリンピック委員会)基準に合わせる。周辺については縮小する方向で考えたい」とした。最寄り駅と競技場を結ぶ通路や周辺の回廊の縮小、検討段階にある商業施設・博物館など付属施設の一部見直しや簡素化などを俎上(そじょう)に載せる見通しだ。
◇デザイン維持 付属施設一部見直し
新国立競技場は、2019年日本開催のラグビーワールドカップメーン会場、20年東京五輪の主会場として、現在の国立競技場(新宿区)を総延べ約29万㎡、収容人数8万人規模で、開閉式根、一部可動式の観客席を備えたスタジアムに改築する。総工事費は、デザインコンペ時点で1300億円を見込んでいた。
国際デザインコンペで選ばれた建築家のザハ・ハディド氏のデザイン案を採用し、フレームワーク設計業務を日建設計・梓設計・日本設計・オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッドJV、発注者支援業務を山下設計・山下ピー・エム・コンサルタンツ・建設技術研究所JVが担当している。
日本スポーツ振興センターでは、フレームワーク設計の中で規模・コストを含めた基本設計に向けた条件整理を行っている。今後、今回の予算縮小も含めた条件整理が固まり次第、「国立競技場将来構想有識者会議」に諮った上で、基本設計に着手する。現時点では、今年度末まで基本設計を進め、来年4月から実施設計に着手する予定。14年7月から 解体に着手し、新国立競技場は15年10月着工、19年3月完成を目指している。
新国立競技場建設をめぐっては、建築家の槇文彦氏が日本建築家協会(JIA)の会誌『JIA MAGAZINE』8月号(295号)に投稿した論文「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」で建設計画やコンペのあり方に疑問投げかけたことを発端に、建築家有志によるシンポジウムが11日開かれ、再検討を求める要望を出す方向などが示されていた。
また、日本建築士会連合会が計画の見直しを求める要望書を提出することを機関決定し、三井所清典会長は「関係団体が共同歩調をとった方が効果がある」との考えも示している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
0 コメント :
コメントを投稿