茨城県つくば市にある「すみれ保育園」。増山栄建築設計事務所(土浦市)は、スタッフの1人が第1期の卒園児だった縁で、近隣に移転し建て替えるための設計を担当した。
移転先は、園庭を確保しつつ園舎を建てるには敷地が狭かった。園長が「保育園らしくない保育園をつくってほしい」と要望したこともあり、丸い屋根の上に芝生の園庭を設けることにした。「屋根の上に登って遊ぶという貴重な経験が、子どもたちにとって大切な記憶となる」(同事務所)と考えたからだ。
建て替えに向け保育士や保護者に対して実施したアンケートやヒアリングでは、安全を求める意見が多かった。このため園庭の柵は、約1.5mと十分な高さを確保した。
一方で、園長から与えられた「仲良しの輪」というイメージや「死角がない保育園にしたい」との思いから、1階中央にプール付きの中庭を配し、その周囲に廊下、さらにその周囲に各部屋を設けた。どこにいても園児が何をしているか見渡すことができ、中庭からの採光や通風により維持管理費の節減にもつながった。
屋上の園庭について保護者らは当初、屋根の傾斜が急だと心配したが、子どもたちが転ばずに上手に走り回っているのを見て安心したという。
保育士も、最初は屋上で遊ばせることに戸惑ったが、園児が自ら使い方や安全を考え楽しんでいるのを見て安堵(あんど)した。
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