2013/10/29

【浮体式洋上風発】五島列島で「はえんかぜ」が発電開始 

環境省が進める浮体式洋上風力発電実証事業の実証機「はえんかぜ」が完成し、発電を開始した。実証機は、受託者グループ(代表・戸田建設)が開発した世界初のハイブリッドスパー構造を採用。細長い円筒形状のスパー型で、浮体上部に鋼、下部にコンクリートを使用している。全長172mのうち、96mが海面上に浮く。風車の直径は80mで、一般家庭1800世帯分に相当する2メガワットを発電する。 

 長崎県五島列島の椛島(五島市)沖で28日に行われた開所式には、石原伸晃環境相を始め、石塚孝長崎県副知事、野口市太郎五島市長ら地元関係者、受託者グループから戸田建設の今井雅則社長らが出席し、低炭素エネルギー社会の実現に向けた施設の完成を祝った。
 席上、石原環境相は、「再生可能エネルギーの普及には、導入ポテンシャルが高い洋上風力発電の普及がかぎを握っている」と述べた。また、台風に強く、コストが安いなどの利点を挙げ、「2020年までに洋上風力発電の発電量を現状の約40倍の100万kW以上に引き上げる」との方針を表明した。
 実証事業の今後の展開については、実証機の近くに増殖魚礁と浮魚礁を設置するなど漁業との共存共栄を図るとしたほか、夜間などの余剰電力を水素に変換して利活用するなど、「自立・分散型エネルギー社会の先駆けとなる五島モデルを実証する」と強調した。
 石塚副知事は「低炭素エネルギー社会の構築に向けた新たな事業であり、産業振興にもつながると期待している」と述べ、野口市長も「五島振興の起爆剤になると期待する」とあいさつした。
 命名式で石原大臣は、自ら命名した「はえんかぜ」について、「幸せを運んでくるという意味もある」と述べた。この後、関係者代表によるテープカットが行われた。
 受託者グループは、戸田建設のほか、日立製作所、芙蓉海洋開発、京都大学、海上技術安全研究所で構成している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 【ブラジル技能五輪】左官・日本代表の堀良成さん(堀工業)、代表の誇り胸に活躍誓う ことし8月にブラジル・サンパウロで開かれる、第43回技能五輪国際大会の左官・日本代表に堀工業(新潟市)の堀良成さん=写真=が選ばれた。日本の伝統技能の担い手として、世界の舞台でそれを披露することに少なからず重圧を感じながらも、先人たちが築き上げた“技”の高さを証明する絶好の機会となる。「金メダルを獲得する」という目標の下、厳しい訓練に励む姿に同大会での活躍が期待される。  日本代表の選考を兼ねた第52回技能五輪全国大会は、2014年11月2… Read More
  • 【九州地整×JAXA】「だいち2号」の観測データを火山降灰や離島保全に活用 九州地方整備局とJAXA(宇宙航空研究開発機構)は4月30日、福岡市の東福第2ビルで、人工衛星「だいち2号」(ALOS・2)の観測データの提供に関する協定の調印式を開いた。  2014年5月24日に種子島宇宙センターから打ち上げられた、だいち2号の観測データの提供を受ける。だいち2号から送られてくる画像は、Lバンド合成開口レーダーにより観測された画像で、夜間や雲で覆われている場合でも地表面の様子をとらえることができ、同局は、火山などの経年的… Read More
  • 【叙勲】マンホール浮上抑制技術を発明考案した一場駿氏が黄綬褒章を受章 シーエスエンジニアズの一場駿会長=写真=が、2015年春の褒章(文部科学省関係)で黄綬褒章を受章した。液状化によるマンホール浮上抑制技術の発明考案などの功績が評価されたもので、15日に東京都千代田区の如水会館で伝達式が行われる。  一場氏は04年に発生した中越地震でマンホール浮上が多発し、支援活動などに支障を与えたことなどを問題視し、浮力に対し重量で対抗するシンプルな原理の「ハットリング工法」を考案。 東日本大震災時、東北・浦安地方に敷設済… Read More
  • 【南極地域観測隊】10項目の作業終え第56次夏隊任務終了! 佐藤利明さん(飛島建設) 第56次南極地域観測隊(夏隊)の隊員として、昨年11月に日本を出発した飛島建設の佐藤利明氏が、その任を終えて3月に帰国した。第55次隊に続く2度目の派遣で、新汚水施設仕上げ工事、風力発電機設置工事、第2車庫兼ヘリ格納庫建設工事などをほぼ計画どおりに完了。「前回一緒に渡航した第55次隊の越冬隊との1年ぶりの再会がとてもうれしかった」と振り返り、「もう十分やり切ったが、次があるならば越冬隊として行きたい」と笑顔を見せた。  今回の作業内容は、(… Read More
  • 【坂茂】ネパール地震被災者に仮設テントとプラシートのシェルター支援! 現地学生、建築家らと協働 坂茂建築設計とボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)は、4月25日に発生したネパール地震の被災者に対し住空間の支援を開始する。緊急対応として日本から屋外テントを輸送し、プラスチックシートを壁にしてシェルターや医療施設に使用する。現在は航空会社との調整を進めており、近く資材などを現地に搬入する見通し。写真はトルコで建設した仮設住宅。  今後は現地の大学や学生、建築家らと協働し、紙管や現地で入手できる材を使用した仮設住宅の提供を進め… Read More

0 コメント :

コメントを投稿