日立機材が、露出型固定柱脚「スーパーハイベース工法」の主力製品GXシリーズの3次元パーツデータを公開したのはことし6月。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入した建築プロジェクトが増加する中で「3次元データを提供してはどうか」と、グループ企業で営業先でもあった日立建設設計からの提案がきっかけとなった。
構造部材のBIMパーツデータは少なく、同業他社も取り組んでいない。「設計段階に自社製品のパーツデータを仕様として組み入れてもらえるチャンス。営業ツールの一環にとらえ、すぐさまデータ作成に取りかかった」と、高橋秀明テクニカルセンター主任技師は明かす。
S造の大型建築物に使われるスーパーハイベース工法の中でも、角形鋼管用のGX型式は売れ筋の製品。ボルト孔が8本のGXは4本のB型式に比べ、アンカーボルトの長さを短くでき、基礎の根切り幅を最小限に抑えられる。10年前に販売して以来、主力製品として君臨している。
ダウンロード数は月80件程度に達する。公開パーツデータはオートデスク製BIM構造ソフト『Revit Structure』に対応。基礎の配筋モデルと重ね合わせることで、干渉部分を確認できる。属性情報には標準価格も入れ込み、積算への活用も想定している。
BIMが普及しているとはいえ、基礎部の鉄筋を細かくモデル化するようなケースはほとんどない。現場では2次元の平面図と立面図を使って確認しているため、干渉部分を見落としてしまうケースもある。高橋氏は「当社の製品パーツデータを部分的に使って不具合を確認してもらいたい」と呼び掛ける。
同社では、日立建設設計からの呼び掛けがあるまで、BIMの存在はまったく知らなかったという。GXシリーズは全42型式。3人がかりで3カ月ほどかけ、属性情報を一つひとつ打ち込んだ。GXに続き、他のハイベースシリーズも順次、BIM化する方針。年内を目標に第2弾として油圧式制震ダンパシステム「ハイビルダム」のパーツデータを公開する準備を進めている。
GXのパーツデータは、日立建設設計が設計を担当するオフィスビル工事に初採用された。高橋氏は「無償提供していることもあり、実際にどれほど活用されているかは定かでないが、BIM対応が製品の付加価値につながることに間違いはない」と感じている。ダウンロード先はhttp://www.hitachi-kizai.co.jp/products/kz/download/cad.html
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