「本社のあるハンガリーで動いている100件ほどのFM(ファシリティ・マネジメント)プロジェクトのうち、既に5社への導入が決まった」。CAFMベンダーのヴィントコン社で営業責任者を務めるアンドラー・シィゲティ氏は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)対応クラウド型ソリューション『archifm.net』の手応えを口にする。
このサービスは、グラフィソフト製BIMソフト『ArchiCAD』に連携するFM管理ソフト『ArchiFM』のクラウド対応版として、ハンガリーでは2012年11月から、日本ではことし3月から提供を始めた。ウェブアプリケーションであるため、関係者が使いやすく、既存の社内システムに合わせて柔軟にカスタマイズできる点が特徴だ。
初導入となった銀行系ユーザーは、資産管理や施設メンテナンス業務の円滑化に利用を決めた。委託するメンテナンス会社の業務評価にも対応できるようにシステムをカスタマイズした。工業用ゲートやドアの保守メンテナンスを行うドイツの会社からはハンガリー国内にある300カ所約4000もの保守点検業務に対し、モバイルツールと連動させた使い方を求められた。
シィゲティ氏は「ユーザー自らが業務情報を管理することが難しいほか、データ保管のサーバーを持てない点が導入の決め手になっている。仕事内容に見合ったFMを実現できる当社のカスタマイズ力も評価を得ている。メンテナンス業務への活用を求められる傾向が強いため、モバイルツールとの連動性も強力な武器になっている」と強調する。
日本では、近く初弾の導入プロジェクトが動き出す予定だ。ハンガリーを含む欧州全体で見ても、BIMからFMにデータ連携させた具体の取り組み事例はなく、日本が先行する格好だ。国内販売代理店を務めるエクストリーム(名古屋市)の高松稔一社長は「BIMデータをFMデータに変換し、オフィス管理に活用するもので、これが成功すれば、一気に導入機運が高まる」と期待をのぞかせる。
ヴィントコン社は、日本での販売目標を、年4件程度に設定している。シィゲティ氏は「設計から施工、維持管理へのデータ連携を意識する日本のBIMは、製品(ソフト)に対する要求レベルも高い。建物ライフサイクルを通して物事をとらえるマーケット特性が浸透しつつある印象をもつだけに『archifm.net』の利用価値も理解してもらえるはずだ」と確信している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
0 コメント :
コメントを投稿