2013/10/15

【復興版】三陸沿岸道路で続々工事着工

園児と鍬入れした「鎚地区トンネル工事」
震災復興のリーディングプロジェクトに位置付けられている三陸沿岸道路の整備が着々と進んでいる。東北地方整備局南三陸国道事務所が所管する釜石山田道路の小鎚地区トンネル工事の着工式が10日、吉浜道路の(仮称)吉浜高架橋連結式が11日にそれぞれ行われ、復興に向かう被災地に明るい話題を提供した。


◇2つのトンネルを築造


 西松建設が施工を担当する小鎚地区トンネル工事は、国道45号の釜石市片岸町から大槌町小鎚にかけて、長さ1445mの(仮称)鵜住居第2トンネルと309mの小槌第1トンネルの2つのトンネルを築造する。掘削はNATMで坑口付近が機械掘削、その他は発破掘削方式を採用。早期整備のため鵜住居第2トンネルは両押しとする。2015年10月の完成を目指す。
 着工式には、南三陸国道事務所の柴田吉勝所長、西松建設の鳴石亨東北支店長、野田武則釜石市長、碇川豊大槌町長らのほか、会場で元気な踊りを披露した釜石市内の幼稚園児らが出席。鳴石支店長は「本トンネルは重要なインフラであるだけでなく、地域ににぎわいを創出するための工事でもある。子どもたちの将来のためにも1日も早く完成させたい」と決意を述べた。
 野田市長は「長年の懸案だった大槌町との交通渋滞という大きな山に穴が開けられ、喜びもひとしおだ」とし、碇川町長も「三陸沿岸道路は希望を未来につなぐ心の道だ」と語った。このあと、代表者が園児とともに鍬(くわ)入れを行い、夢の道実現へのスタートを祝った。
 現場を率いる西松建設の棚瀬勝広所長は「現地を目の当たりにして通常の工事ではない、復興工事であると実感した。地域の方とコミュニケーションをとりながら、特別の意識を持って取り組みたい」と話した。

◇年度内の完成を目指す



吉浜高架橋の定礎
吉浜高架橋は、大船渡市三陸町吉浜に整備される長さ約3.6㎞の吉浜道路の主要構造物の一つとして建設する。長さは373m、橋梁形式は6径間連続PCラーメン箱桁橋。
 上部工の施工は川田建設・安部日鋼工業・日本高圧コンクリートJVが担当しており、2013年度中の完成を目指す。
 連結式では、川田建設の川田琢哉社長が「夏と冬の寒暖差が40度以上という過酷な環境の中、細心の注意を払って品質確保に努めている。最後まで無事故・無災害で高品質な橋を完成させたい」とあいさつした。来賓の戸田公明大船渡市長は「日々進む工事を見て、吉浜地区の人たちが待ちに待った橋だとつくづく感じた。市にとっても大変ありがたい」と語った。
 このあと、柴田吉勝南三陸国道事務所長や川田社長、戸田市長ら代表者7組が連結点にコンクリートを打設すると会場から拍手が沸き起こった。さらに出席者全員で万歳を唱和し、橋梁完成への大きな節目を祝った=写真。
 会場では、吉浜小学校の児童が作文と歌、吉浜中学校の生徒が地元明神太鼓による「吉中ソーラン」を披露した。

◇園児が「げんきっこ虎舞」披露



「げんきっこ虎舞
小鎚地区トンネルの着工式で釜石市立第一幼稚園の園児による「げんきっこ虎舞」が披露された。小虎の格好をした子どもたちが太鼓と笛の音に合わせて威勢よく舞い、震災にめげず、明るく元気に育っている姿に会場から大きな拍手が沸き起こった。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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