2015/08/25

【現場最前線】早期運転再開へ現場一丸 JR常磐線小高駅~磐城太田駅間災害復旧

 東鉄工業は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で不通となっているJR常磐線・小高駅~磐城太田駅間(福島県南相馬市)の列車運転再開に向けた鉄道施設災害復旧工事および除染作業を進めている。現場ではバラストに使われている砕石を交換する除染作業(道床撤去・復旧)とレールの調整などを実施。早期の運転再開に向け、所員が一丸となって作業に当たっている。

 工事は「いわき保線技術センター管内災害復旧(太平洋地震)その2工事(甲)」として東日本旅客鉄道(JR東日本)水戸支社いわき保線技術センターが発注。5月から着手し、工期は2016年3月まで。施工区間は16年春までの運転再開を目指している。
 対象となる軌道(単線)の延長は3893mで、このうちトンネルと橋梁部を除く3668mの道床を撤去、復旧するとともに、約200本のPCマクラギ交換、計935mのレール交換、4カ所の踏切修繕などを実施する。
 撤去、交換する砕石量はともに5135m3に及び、小高駅から磐城太田駅方面に向かって作業を進める。現場では、掻き出した古い砕石と交換用の新たな砕石を積んだ軌陸ダンプが線路上を行き交う。ダンプから降ろされた砕石は4頭タイタンパーを装備した軌陸タイプのバックホウで順次つき固めていく。
 約20人が作業に当たり、1日の作業量は約30m。道床撤去・復旧の進捗率(12日現在)は50%に達している。今夏は特に暑さが厳しいため、現場に日よけのための簡易テントを設置するなど、熱中症対策には万全を期している。
 現在は砕石の交換作業がメーンだが、今後は信号機や架線の作業が本格化する。東鉄工業水戸支店原ノ町軌道工事所の桑名隆行所長は「複数工事が同時進行するため、業者間での綿密な調整が必要になる」とより安全な施工に注意を払う。
 工事は現在まで無事故・無災害で進めている。桑名所長は「最後まで無事故・無災害を継続し、より良い状態で発注者に返したい」と気を引き締める。
 山田学副所長も「住民も早期の運転再開を望んでおり、無事故で仕事を全うしたい」と決意を新たにした。

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