創刊から1年を迎える建設業界向けのフリーペーパー『ブルーズマガジン』。土木建築の現場で働いている魅力あふれる人々を世の中に紹介し、読者と職人を双方向で結ぶカルチャーマガジンとして、隔月でこれまで5号を発行してきた同誌。その趣旨に賛同した全国仮設安全事業協同組合が5日、同組合本部で紹介会見を開いた。会見には専門紙など約10紙が集まった。
雑誌を発行する感電社の柳知進社主は「青年期に音楽活動をしていたが、家業を継いで建設の仕事をしたときに、音楽活動と建設業での尊敬する人間が何も変わらないことに気がついた。建設業の魅力を紙媒体で伝えていくことをしたくて、マガジンを発行するに至った」と発刊の経緯を説明した。
「今の建設業界は人手不足で、外国人労働者に頼らざるを得ない現状がある。今の自分の会社でも自分と同年齢の人間がとても少ない。若い人が入ってこない業界は危機的だと思っている。就労者を増やすには、自分が業界の中で感じている魅力を発信していくしかない。6日に発行した第6号で、発刊から丸1年になる。これを節目として、多難だと思うが船出としていきたい」と今後の展望も語った。
1年間、自費で発刊を続けてきたが、地方への交通費を使って記事を取材・編集し、無料で印刷・発行するには多大な費用がかかる。目下の悩みは、こうした制作費の壁をいかに乗り越えるかだ。「一緒に雑誌をつくってくれるメンバーとして、意志に協賛してくれる人たちを募集したい」と柳社主は言う。
同社の取締役で作家の石丸元章氏は「社会問題ともなっている建設業への若手入職者不足は、みんなで解決しなければならない課題。土木建築は大変厳しい世界だが、同時に魅力にあふれる場所だということも伝えたい。雑誌は開いて隣の人と一緒に見られることが、ネットにない魅力。現場で囲んで見ることができる媒体としてフリーペーパーを選択した」という。
全国仮設安全事業協同組合で会見する感電社の柳社主(中央) |
全国仮設安全事業協同組合では、青年部に加盟している約40社に同誌を配布し、すでに2社が定期購読を決めたという。今後も青年部と取材などを通して交流を続ける。
ブルーズマガジンの由来は、音楽のブルースとブルーカラーからとっている。感電社の由来は「感動・関心を、世間にビリビリと伝えるというユーモラスさ」を表現したそうだ。
これからは、「紙面を活用して職人から役所の人まで巻き込んだイベントや、独自の商品開発として、土木で使っているスコップなどの道具をスポーツ向けに改良したり、現場作業着を街のファッションとして取り入れる提案もしたい」(柳社主)という。同誌の協力・協賛に関する問い合わせは、感電社のホームページで受け付けている。
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