2016/04/13

【BIMカフェ】50回の歩み BIMの普及と進化を実感 シェルパの高松稔一代表


 シェルパ(本社・名古屋市)の「OPEN BIM cafe」(BIMカフェ)が50回の節目を迎えた。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に挑む設計者や施工者などを講師として招くセミナー式の交流イベントとして広く親しまれている。BIMの現場支援や導入サポートを手掛ける同社が東京オフィス(東京都中央区)の開設を機に、月1回(現在隔月)のペースで開いてきた。同社の高松稔一代表は「日本のBIMの進化が見える」と振り返る=写真。

 初開催の2011年5月から、これまでに延べ94人が講師を務め、参加者は延べ1000人を超える。会場は東京オフィスを使うため、スペースが限られ、聴講の席は25人限定。「ありがたいことにプレミアムチケットと言われるほど皆さんに愛されている」とは高松氏。講師役は設計者、施工者、ベンダーなど多岐にわたり、日本のBIMをけん引する人たちが顔をそろえる。
 この5年間で講師の幅も広がっている。「当初は日本のBIMをけん引する推進派が中心だったが、最近はBIMに取り組み始めた方々も登場してもらえるようになった。BIMの普及とは裏腹に、近年は最新プロジェクトの紹介が難しいケースも多くなり、講師探しが難しくなった」とも。毎月の開催を14年11月から隔月に切り換えたのも、そうした背景が少なからず関係している。

50回目の講師を務めた前田建設の前田氏

 講師陣が取り上げるBIM事例も、色合いが変わった。例えばゼネコンは川上から川下までを一気通貫でつなぐ“フルBIM”を目指してきたが、最初から頂上を目指し過ぎたこともあり、近年は“部分BIM”を試行しながら、施工体験を積み上げる流れになっている。「小さな成功体験を共有する流れが、逆に組織内での推進力になっている」と分析する。
 BIMコンサルとして建設業界の下支え役を演じる同社にとっても、BIMカフェの効果は大きい。現在は20件を超える進行中のBIMプロジェクトに携わる中で、講師役が取り上げる最新BIM事例は「当社のスタッフが生の声を聞ける貴重な場」と受け止める。BIMが着実に普及する中で、BIMカフェの開催が「シェルパ=BIMというPR効果ももたらしている」と手応えを口にする。
 BIM最大のメリットは「フロントローディングに尽きる」と強調する高松氏。施主の合意時間は大幅に短縮され、プロジェクト関係者はもの決めの早さを実感している。「われわれが参加するBIMプロジェクトの打ち合わせ時間は従来の3分の1」と明かす。実は、高松氏自身がBIMカフェの講師を務めるケースもあり、それを楽しみにしている聴講者も少なくない。
 51回目の開催は5月20日。菊川工業とアプリクラフトの2社が講師を務める。申し込みは こちらまで。
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