2016/04/11

【南極観測隊】厳しい条件下、異分野隊員同士の協力で遂行 飛島建設・後藤猛氏が帰国報告


 第57次日本南極地域観測隊(夏隊)の隊員として、昨年12月に日本を出発した飛島建設の後藤猛氏が、その任を終えて3月に帰国した。ブリザードや強風など南極特有の厳しい気象条件の下、基本観測棟建設工事、風力発電装置2号機建設工事、第2車庫兼ヘリ格納庫スロープ工事などに従事し、「仕事はきつかったが、異分野の隊員との交流など大変楽しかった」と振り返る。

 南極の滞在期間は2015年12月23日から2月14日までの約50日間。建築・土木部門を担い、▽基本観測棟建設工事▽風力発電装置2号機建設工事▽コンクリートプラント運用▽第2車庫兼ヘリ格納庫スロープ工事▽コンテナヤード補修工事--などの作業に挑んだ。
 昭和基地入り直後、現地の16tラフタークレーンが故障し、持ち込んだ35tラフタークレーンが組み立てられない事態に陥ったものの、「他の建機から部品を代用して何とか故障を直してくれた。35tラフタークレーンがなかったら、全工程に支障が生じていた」と安堵の表情を見せる。
 風力発電装置2号機の建設工事では、その35tラフタークレーンが活躍。「現地入りして間もなく着工し、順調に作業が進み、2月初めには完了した」と説明する。
 各作業に当たっては、他の隊員のほか、観測船「しらせ」の乗組員も支援。基本観測棟や風力発電装置2号機などの基礎に使用するコンクリートはミキサーでの手動練りのため、人員がそろわないとできなかったが、「しらせの乗組員が協力してくれたため、心強かった」という。
 また、今回は女性隊員(同行者を含む10人)が多かったが、「役割分担を工夫し、ボルトの用意など細かな作業を手伝ってもらった」と明かす。「女性隊員の中には風力発電装置2号機の足場最上部に平気で登る強者もいた」とも。
 南極に向かうしらせの船内では隊員が講師を務める南極大学が開かれ、「オーロラが発生する仕組みなどいろいろ勉強になることが多かった」と感慨深そうに語る。次回の第58次夏隊にも立候補しており、「チャンスをもらえれば、また挑戦したい」と意気込む。
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