東日本大震災は、津波による被害があまりにも大き過ぎたため、そのほかの被害は目立たなくなってしまった。しかし、次の災害に備え、同じ轍(てつ)を踏まないようにするには、被害の実態と原因の究明は不可欠だ。
本書が取り上げている鉄骨置屋根構造は、RC造の柱などに鉄骨の屋根が載っている施設で、体育館や公共スポーツホールなどに採用されている。こうした大空間の施設は、災害が起きれば避難所に使われることが多い。東日本大震災では、揺れによって鉄骨の屋根とRC造の下部との接点などが損傷を受け、使用不能となり避難所の機能を果たすことができないケースもあったという。
震災翌年の2012年、建築研究振興協会東北分室(分室長・田中礼治東北工業大名誉教授)が、鉄骨置屋根構造の被害調査報告書をまとめたあと、13年には建築研究コンソーシアム内に研究会を設置して被害分析や耐震性能などを検討した。こうした研究成果が本書の刊行となった。
(技報堂出版・3200円+税)
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