2016/04/14

【現場最前線】列車運行しながら地下道構築のHEP&JES工法 東鉄工業のJR常磐線立体交差


 東鉄工業が施工する、JR常磐線内原~赤塚間の水戸市赤塚地区と同線常陸多賀~日立間の茨城県日立市多賀地区での線路下横断工事が最盛期を迎えている。いずれも東日本旅客鉄道(JR東日本)水戸支社が発注し、内原~赤塚間の赤塚西跨道橋=写真=は東鉄工業・鴻池組JVが、常陸多賀~日立間の野際跨道橋は東鉄工業・三井住友建設JVがそれぞれ担当している。

 ともに、列車を運行しながら非開削で線路下に地下道をつくるHEP&JES工法を採用した。1辺が約90cmの函体(四角形角型鋼製エレメント)を1本ずつ挿入し、JES継ぎ手で組み合わせて高精度に線路下横断構造物を構築する。線路直下の上床部、側壁部、下床部の順で施工し、函体の挿入結合や内部へのコンクリート充填後、構築した道路断面の内部を掘削し出入口や側壁部をコンクリートで仕上げ、完成となる。

赤塚西跨道橋の到達側

 赤塚西跨道橋は線路下に幅約15m、高さ約8m、長さ約18mの箱型コンクリート断面の地下道をつくり、対面通行2車線と左右に幅約2.5mの歩道を設置する。線路下構造物前後の赤塚1丁目側約7m部分と河和田側約9m部分に開削工法でボックスカルバートを施工する。工事は2015年2月に着手し、16年2月から函体けん引作業を開始、18年2月の完成を目指している。

野際跨道橋の到達側

 野際跨道橋は、線路下に幅約24m、高さ約8m、長さ約29mの箱型コンクリート断面の地下道を構築し、片側2車線の4車線道路や自転車や歩行者用通路を確保する。施工場所は約7%の下り勾配になっているほか、鉄道の架空線、高圧送電線の監視や営業線の軌道監視が必要な難易度の高い工事となる。工事は15年4月に着手し、3月から線路両側の立坑の堀削を始めた。20年1月の完成を予定している。

野際跨道橋の発進側

 赤塚西跨道橋の工事を担当する熊谷諭監理技術者は「線路両側の地盤が異なっており、東京を背にして右側の土止め杭打ち作業及び掘削作業では、固い地盤や大きな玉石に遭遇し多くの工程を費やしたが、無理をせず慎重に作業を進めた。所定工期内に品質の高い構造物を無事故で提供することで、地域住民や関係者の期待に応えたい」と決意を示す。野際跨道橋の工事を担当する庄司実監理技術者は「現場は海沿いに近い地理的条件のため、年間を通じて強風の日が多く、工事関係車両の出入り口ゲート補強や、高圧送電線支障防止設備のレーザーバリアなど堅固な安全対策が欠かせない。地域住民や発注者への期待に応えるためにも、無事故で工期内に完成させたい」と抱負を語る。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【次代を担う】横浜国大生がマネジメント力を実感 リビタの「一棟丸ごと リノベーション」現場 リビタ(東京都渋谷区、南佳孝社長)が東京都中央区で進めているプロジェクト「リノア東日本橋」は、既存建物を一棟丸ごと取得し、共用部・専有部ともリノベーションした上で分譲する事業。建設コストが高騰している状況下で、かつ都心3区にありながら、個人のライフスタイルにあった住まいを比較的リーズナブルに手にできることから人気を集め、すでに販売住戸は全戸完売した。来春の竣工に向けて最終段階に入った改修工事の現場を、横浜国立大学大学院都市イノベーション学府… Read More
  • 【現場最前線】大江戸線のリニア軌道を守る! 東鉄工業の「東京線路支店地下鉄工事所」 木場公園(東京都江東区)の地下に都営大江戸線の車両基地があることは広く知られているが、基地が列車の安全運行に欠かせない軌道保守工事の重要拠点でもあることはあまり知られていない。同線の軌道保守工事を発注する都交通局木場保線管理所が入る基地直結の木場庁舎に事務所を置く、東鉄工業東京線路支店地下鉄工事所には、佐久間清所長を含む3人が常駐し、独自のノウハウと高い技術力で安全運行を支えている。歴史の浅いリニア軌道構造で「保守のスタンダードを築いていき… Read More
  • 【現場最前線】200Nコンクリを初の本格適用! フルPCa化で工程短縮実現した西富久地区再開発 全国初の住民主導による再開発として注目を集める東京都新宿区の「西富久地区第一種市街地再開発事業」。バブル期の地上げで虫食い状に放置され、崩壊の危機に直面していたまちの再生に向けて地元住民が第一歩を踏み出したのが1990年。20年以上の歳月を経て2012年5月に本体着工した。施工は特定業務代行者の戸田建設・五洋建設JVが担当、現場を指揮する芦田哲作業所長(戸田建設)は「5月末の完成に向けて、工程管理を徹底し、工事をスムーズに進めていく」と… Read More
  • 【復興現場最前線】首都圏への足を取り戻せ! JR常磐線14.6㎞を内陸側へ移設復旧 震災は首都圏と太平洋沿岸各都市を結ぶJR常磐線にも深刻な打撃を与えた。特に被害が甚大だった宮城・福島県境の駒ヶ嶺駅~浜吉田駅間では、住民が通勤・通学のために日々利用していた3駅舎が流失、線路は壊滅的な被害を受け、現在も運休が続いている。早期復旧に向け、福島県新地町と宮城県山元町では内陸側への移設工事が復興まちづくりと一体となって進められている。2017年春の運行再開を目標に、地域住民や環境にも配慮しながら、トンネルや高架橋の新設工事など… Read More
  • 【現場最前線】「RC積層工法」で1フロア6日で完成! プレミスト札幌ターミナルタワー 札幌駅前の新たなランドマークとして建設が進む、大和ハウス工業の超高層マンション『プレミスト札幌ターミナルタワー』。大成建設の設計施工で11月4日に上棟し、最高高さ128mを超える姿を現した。この「(仮称)札幌北7東1計画新築工事」の躯体構築には、同社独自の「RC積層工法」を採用し、1フロアを6日で完成という速さを実現。現場を指揮する最上公一作業所長は「労務事情が厳しいと言われている中、この現場は、当初の予定どおりに工程が進んでいる」と胸… Read More

0 コメント :

コメントを投稿