医療施設の設計チームを束ねる重要ポストで、同社では2人目の女性部長職となる。しかし、実は入社時点では一般職だった。「当時はまだそういう時代だった」と振り返る。3年後、試験を受けて総合職に転換し、今に至るまでキャリアを積み重ねてきた。
ここにきて、「女性が活躍できる環境が急速に整ってきた」との印象がある。会社で働く人々の意識改革が進んだ点も大きい。このため、「(女性がステップアップできるかどうかは)本人次第。チャンスは男女平等にあり、もう会社のせいにはできない」と感じている。自身にも、「部下には男女分け隔てなく、フェアにチャンスを与えている」との自負がある。
建設業界では女性管理職が少なく、まだまだこれから。それだけに、「女性が管理職に就くことが(部下や後輩たちにとって)魅力的に見えるよう立ち振る舞っていかなければならない」と、自分に言い聞かせる。管理職を目指す後輩たちに、辛そうな顔は見せられない。
複数の賞を受賞した「聖路加産科クリニック」 |
一般的なオフィスビルなどに比べ、医療施設には多岐にわたるニーズを織り込まなければならず、設計も一筋縄ではいかない。「時として相反するテーマを束ねなければならない点が難しさであり、醍醐味でもある」。一方、「医療が進化するスピードは、建築のそれを超えている」と感じる場面も多い。「患者の心が置いてきぼりにならないよう、患者やその家族に寄り添った空間づくり」を常に意識している。
木の格子を多用し工夫をこらした |
もう1つ強く意識しているのがチームの力だ。「当社には約1万人の専門家がいる。こうした専門家たちと連携しながら総合力を発揮し、ゼネコンにしかできないものづくりを進めていきたい」
千葉大大学院工学研究科建築学専攻修了後、清水建設入社。博士号を持ち、母校の非常勤講師も務める。
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