関電工の加藤直樹さん(東関東営業本部千葉支社)が、第56次南極地域観測隊越冬隊の任務を終えて帰国した。第48次に続き2回目となる今回は、観測と設営の2つのグループのうち、設営のトップとなる主任を務めた。「火事が起きようが、停電になろうが、次の船『しらせ』が来るまで生きて帰さないといけない。人の命を預かる総括的な立場のため、行く前はプレッシャーで、1週間くらい寝られないこともあった」と明かす。
初めての参加は、2006年11月からの越冬隊で設営の機械担当だった。今回は14年11月から16年3月で、昭和基地全体の機器についてトラブル対応や運営方針を決める立場になった。「機器トラブルの8割は漏水や水中ポンプが止まるなど設備系が占めている」。隊員の人数は、前回よりも約10人少ない26人だったため、一人ひとりの負担が大きかったと振り返る。
第56次南極地域観測隊越冬隊の任務を終えた関電工の加藤直樹さん |
トラブルの中でも特に大変なのが停電と指摘する。水の循環が止まると凍結してしまうため、「原因を瞬時に判断していち早く復旧する」ことが求められる。2機ある発電機のどちらを立ち上げるのかなど、早急に指示しなければいけない。機器が故障すると警報が鳴るため、夜中でも対応する必要があり、深酒禁止は当たり前で、熟睡もあまりできないという。
日本にいると、自分の仕事だけをこなしていればいいが、南極では人数が少ないため、できることは何でもしないといけない。油圧ショベルなど重機の運転も行い、除雪作業をした。「やったことがないような仕事ができ、いろいろな経験をして視野が広がる。初めての人には参加を積極的に勧める」
今後は新たな隊員の育成に努め、次世代に対するアドバイザー役が期待されている。
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