2016/06/09

【隈研吾】災害通じどう自然と一緒に生きるか 「新国立競技場の木材使用」をテーマに講演


 東京デザインセンターは7日、東京都品川区のBFデザインホールで第15回TDC建築セミナーを開き、建築家の隈研吾氏を招いた「新国立競技場の木材使用」をテーマとする講演会を開いた。

 隈氏は建築技術を変えた要因として「リスボン地震」と「シカゴ大火」を挙げ、「人間は酷い目に遭うことで技術が発達するようにできている」と語った。その上で、近年の災害は「コンクリートや鉄の建築で災害に勝てるのか分からなくなってきた」と指摘し、コンクリートや鉄による「強い建築」で自然に立ち向かうのではなく、「どう自然と一緒に生きるかを考えないといけない」と木造建築を重視する理由を語った。
 講演会では、豊島区役所などを始めとする木材を多用し国内外で竣工した自作を紹介した。「これまで防火性やメンテナンス性などに課題があったが、近年は急激に技術革新が進んでいる」とし、「この20年で発生した災害は『リスボン大地震』『シカゴ大火』に並ぶ出来事だ。自然へのおそれを前提とし、自然の一部にとけ込んだ建築の時代が来る」と強調した。
 また、新国立競技場の木造化を提案した直後から全国の自治体の知事や山林を所有する個人から木材提供の申し出を受けたことを明かし、「自分の土地で取れたコンクリートを使ってほしいと申し出る人はいないが、私の木を使ってほしいという人は多い。木造であれば自分も参加できるという機運があるのだと思う」と語った。建設に際しては全国の木材を使用し、多くの国民が参加したという意識を持てる競技場を目指すという。
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