2016/06/16

【i-Con】「対応型工事」第1号の2件がスタート! 北海道・砂子組、北陸・会津土建が実施


 国土交通省が人口減少による労働供給の制約を打破する“生産性革命元年”に位置付ける2016年度。直轄工事を対象に、4月から「土工へのICT(情報通信技術)の全面的な活用(ICT土工)」がスタートを切って2カ月余が経つ。各地方整備局での積極的な取り組みが進む中、いよいよ「i-Construction(アイ・コンストラクション)対応型工事」の第1号が動き出した。写真は「道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事」(砂子組)のICTブルドーザによる敷均

 ICT土工の第1号工事となるのは、北海道開発局の「道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事」(受注者=砂子組)と、北陸地方整備局の「宮古弱小堤防対策工事」(同=会津土建)の2件。それぞれ5月にUAV(ドローン)による施工前の測量(3次元起工測量)を実施して、6月からICT建機による土工をスタートさせた。
 既に「UAVの使用によって起工測量の日数が約1週間から1日に短縮できた」「ICT建機の活用で経験が浅いオペレーターでも精度よく施工ができる」「埋設物がある場合でもモニターに表示されるため、安心して施工できる」といった声が寄せられているという。
 注目されるのは、この2件は受注者が必ずICTを使うことになる「発注者指定型」や手挙げ方式と呼ばれる「施工者希望型」といったICT土工の対象工事として発注したものではないこと。いわゆる既契約案件として、受注者側からの協議に基づき、契約変更という形でICTを取り入れている。いわば、受注者の積極的な姿勢がICT土工を実現させた。
 このICT土工は調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新に至るまで、すべての建設生産プロセスにICTを導入する『i-Construction』の主軸の1つ。「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化など)」「施工時期の平準化」と並んでトップランナー施策に位置付けられている。
 3次元起工測量、出来形管理を行うための3次元設計データの作成、ICT建機での施工、3次元での出来形管理、3次元データの納品まで一連の流れにICTを使う。

「宮古弱小堤防対策工事」(会津土建)でのモニターによる施工状況の確認

 直轄工事への本格的な導入に向けて、ICT建機の導入を前提にしたICT土工用の新積算基準(ICT活用工事積算要領)や3次元データを一貫して使用するための15の新基準を整備。特にICT建機の導入に必要となる経費(従来建機からの増額分)を計上するなど、発注者側の推進体制と、それに必要となる企業側の設備投資を後押しする環境を整えていた。
 発注方式は、一般土木A・Bランクの企業が対象となる予定価格3億円以上の「発注者指定型」、3億円未満であっても土工量が2万m3以上の工事に適用する「施工者希望I型」、規模に関係なく受注者からの提案・協議によってICT土工が実施できる「施工者希望II型」の3つに区分。これを基本ベースにして、各地方整備局の判断で適用する。既に金額や規模によらない独自の適用方針を掲げている整備局もある。
 10日時点における発注状況によると、公告済み(公告中)の案件は発注者指定型が4件、施工者希望I型が21件、施工者希望II型が84件の計109件。16年度は、この109件を含めて、発注者指定型が約30件、施工者希望型が約150件、施工者希望型が約230件の約410件がICT土工の適用工事として発注される見通しだ。 
 当初からICTの導入経費を見込んで入札契約手続きを進める発注者指定型に対して、大半を占める施工者希望型は施工する企業側の意思による手挙げ方式。ICT土工の標準化には企業側の意欲がかぎを握ることになる。
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