東京急行電鉄は16日、「100年に一度」と言われる周辺開発が進む渋谷駅の地下工事現場を報道機関に公開した。渋谷川の移設が2015年8月に完了した現場では、約1600㎡に及ぶ東口地下広場とともに、駅前東口の地下約25mでは約4000tの雨水を一時的に貯水できる地下貯留槽を構築している。工事は東急建設・清水建設・鹿島JVが担当。地下広場は19年度、貯留槽は20年度の完成を目指している。写真は地下広場の現場で説明する森正宏所長(左)
両工事は、渋谷駅街区土地区画整理事業の一環となる。東口地下広場は、JR線、銀座線、京王井の頭線の高い階層にある駅から、田園都市線・半蔵門線、東横線・副都心線の地下にある駅を結ぶ場所に整備する。高さは約3mで、一部は6mに及ぶ大空間は、「歩行者ネットワークと滞留空間の両面から重要な空間」(東急電鉄)と位置付けている。
工事の状況について、東急電鉄都市創造本部開発事業部渋谷開発一部渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者事務所の森正宏所長は「地下広場を整備するため、昨年8月に地下を流れる渋谷川を東側に移設する工事を完了した」と説明。“ジャングルジム”のように現場空間全体に組まれている足場は「今夏にコンクリートを打設して天井部を構築するためのもので、9月には足場がとれて、広い空間が生まれる」という。
最大で約4000tを貯留できる雨水貯留槽 |
また、地下貯留槽は、近年増加しているゲリラ豪雨への浸水対策として、渋谷駅東口の地下25mに、雨水を一時的に貯水できる貯水槽を整備する。東西方向に約45m、南北方向に約45mの規模で、最大貯水量は約4000t。森所長は「25m×5コースプール8個分に相当する」と説明し、「1時間当たり50mmを超える雨が降った際、貯留槽に水を溜め、天候の回復後に古川幹線下水へポンプアップにより排水する」という。スリバチ地形の渋谷は、最も低い位置に駅があるため、貯留槽の整備によって、安全・安心な街づくりが実現する。
渋谷地下工事の全体計画は、駅の地下を流れる渋谷川の流れを切り替え、施設を再整備し、にぎわいとうるおいのある渋谷川を創出する。また、安全で快適な広場空間の形成、交通結節機能の強化に向け、東口地下広場を整備し、同広場地下に地下貯留槽を構築し、水害に強いまちを目指す。
また、東急電鉄は同日、ハチ公広場の出入り口8番に上下方向のエスカレーターを整備し、17年春使用開始する予定と発表。スクランブル交差点周辺の出入り口6番と道玄坂改札口付近をつなぐエレベーターと、ハチ公改札口前の上下エスカレーター新設を、今年度の着工に向け検討している。
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