「モノ」から「コト」、「所有」から「シェア」へ--。
戦後の高度経済成長からバブルの絶頂期を経て、長く経済低迷期が続いた日本。いま人口減少社会が現実のものとなる中、東京都心での大規模建築プロジェクトが進行する一方で、クライアントやつくり手、地域社会を巻き込み、新たな関係をつくり、直面する地域の問題に真摯(しんし)に向き合いながら、デザインの領域をより広げていくことで閉塞感漂う状況を変えていこうという、新たな動きが若い世代の建築家を中心に広がっている。
本書は、こうした都市と建築にかかわる建築士の新しい動きに光を当て顕彰し、支援するとともに、広く世の中に伝えようと東京建築士会が昨年創設した第1回「これからの建築士賞」で1次審査を通過した17の多様な取り組みを、当人たちの書き下ろしと審査委員による取材(対話)により、紹介したものだ。
成長を前提とした社会から成熟社会への転換が求められる中で、ややもすれば見えにくい、小さな取り組みであっても、その一つひとつがこれからの建築士が果たすべき役割の多様性と可能性を明確に指し示している。
(学芸出版社・2300円+税)
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