2013/06/12

【労務単価】国交省が相談ダイヤル 末端賃金の実態把握へ

国土交通省は「新労務単価フォローアップ相談ダイヤル」を開設する。2013年度に公共工事設計労務単価を大幅アップさせて以降、現場の最前線で働く技能労働者まで適切な賃金が行きわたっているかなどの実態把握に生かす。電話相談は12日午前10時から受付開始する。技能労働者が安心して働き続けられる環境整備の一環として、社会保険未加入対策の動きが加速する中、相談窓口を設けて元請けや下請け、労働者などさまざまな立場の人から生の声を集める。
 電話はナビダイヤル(通話有料)になっており、全国10ブロックに設置している各地方整備局などの「建設業法令遵守推進本部」につながる。ここでは、発注者と元請けの請負契約や元請けと下請け、1次・2次といった下請け間での取り引きなどに関する各種情報を募る。
 下請けへの設計労務単価を下回る額での一方的な押し付けや、契約書面を取り交わしていない段階での施工の強要など、法令違反の恐れがある情報が寄せられた場合は、その確度を見極めながら立入調査や報告徴収するか判断する。
 中傷をなくし、情報の信ぴょう性を担保するため、相談側にはできるだけ匿名を避けるよう求める。相談窓口には、下請けや労働者に適切な賃金を支払わないと、行政当局に連絡がいくと認識させる抑止効果もある。
 国交省は窓口設置を周知するための文書を11日付で、知事許可業者を所管する都道府県の担当部局や建設業団体に送付。併せて、都道府県・政令市の契約担当部局に、請負業者に対し賃金水準確保に向けた指導をするよう改めて要請した。
 相談ダイヤルの電話番号は、0570-004976(マルマルヨクナロウ)。受付時間は土日・祝祭日・閉庁日を除く午前10時から正午、午後1時30分から午後5時の間。相談は電子メール(shinromutanka-fsd@mlit.go.jp)でも受け付ける。
 国交省は工事契約や労働者への賃金支払いにおいて適切な水準を確保し、社会保険加入を促すことなどを目的に、13年度の労務単価を全国平均で約15.1%上昇させた。
 4月18日には主要建設業団体に対し、太田昭宏国交相自らが対応を要請。これを受け、多くの団体で賃金水準確保に向けた決議を行うなど、行政・業界を挙げた取り組みが広がっている。6月7日には、民間発注者が加盟する団体にも協力要請文を送付している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月12日

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