2013/06/18

【浮体式風発】福島沖へ6月下旬に曳航開始 丸紅、清水らが世界初の実証実験

コンパクトセミサブ浮体
福島沖に設置する浮体式洋上ウィンドファームを構成する2000kW風車を搭載した風力発電船と浮体式洋上サブステーション(洋上変電所)が、6月下旬に東京湾から福島を目指して曳航作業に入る。経済産業省の実証研究事業に採択された丸紅や清水建設などで構成する「福島洋上風力コンソーシアム」は、10月中旬の運転開始に向けた実証研究設備の設置スケジュールをまとめた。
 実証研究事業は、2期に分けて計画。このうち、今回の第1期(11-13年度)は、2メガワットのダウンウィンド型浮体式洋上風力発電設備1基と、世界初となる25メガVA浮体式洋上サブステーション、海底ケーブルを設置する。
 現在、海底ケーブルの敷設やアンカーチェーンの設置工事を進めている。また、千葉県市原市のドライドックで製造中の風力発電船は、今月下旬に曳航作業に入る。一度、小名浜港に入港し、7月13日に安全祈願祭を開く予定。その後、福島県沿岸から約20㎞離れた水深約120mの設置海域で、浮体係留作業に入る。


浮体サブステーション
◇サブステーション

 一方、サブステーションは、7月上旬に横浜・本牧から曳航し、3日ほどで福島沖に着き、同月下旬まで浮体係留作業を進める。ライザーケーブル敷設・埋設、接続なども進め、9月上旬の受電、10月中旬の運転開始を目指す。
 実証研究事業は、このほか第2期(14-15年度)で、世界最大級の7メガワット浮体式洋上風力発電設備2基を新設する。全体事業期間は15年度まで。これにより、世界初となる大規模浮体式洋上風力発電技術と洋上風力のビジネスモデルを確立させる。海外プロジェクトとして展開し、日本の主要な輸出産業の一つに育て上げるとともに、再生可能エネルギーを中心とした新たな産業の集積や雇用創出による福島復興を目指す。
 同コンソーシアムは、丸紅と清水建設のほか、東京大学、三菱商事、三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド、三井造船、新日本製鉄、日立製作所、古河電気工業、みずほ情報総研で構成。清水建設は海域調査と施工技術、日立製作所は洋上変電所の開発、古河電気工業は大容量ライザーケーブルの開発を担当している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月18日

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