2013/06/10

【壁面緑化】超高層が緑で覆われる! 大阪マルビルで安藤プロジェクト完成

大和ハウスグループと建築家・安藤忠雄氏が協働で進めてきた大阪マルビルの壁面緑化の工事が完成し、7日に完成記念式典が開かれた。高さ30m(地上6階)部分までツルやツタで緑化しており、今後は都市の大樹として成長を続け、少しずつ高くなっていく。総事業費は約2億円で、設計施工はフジタと大和リースが担当した。

完成を祝ってテープカット
式典の冒頭、大和ハウス工業の樋口武男代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)が「昨年6月ごろに安藤さんから提案があり、こういった取り組みが世界に広がっていけば社会貢献になると思って賛同し、多くの人の力を合わせて完成させることができた。今後も環境に貢献できる事業に取り組んでいく。大阪マルビルを大阪の『緑の回廊』づくりのシンボルとして緑化の和を広げていきたいと思っている」とあいさつした。

◇100m超えめざすと安藤氏


来賓からは安藤氏が「今は高さ30m部分までの緑化だが、植物が成長して緑化部分の高さが毎年2-3m程度上がっていく。それは希望に向かって伸びていくかのようで、100mを超えれば世界に類のないものとなるだろう。世界一の駅・大阪駅の前に世界一の大樹があるのは素晴らしいことだと思う」と祝辞を述べた。
 テープカットでは、樋口会長、安藤氏、小河保之大阪府副知事、田中清剛大阪市副市長、土屋達朗フジタ取締役専務執行役員らがハサミを入れ、完成と今後の成長を祈った。
 式典後には、安藤氏が同ビル内の大阪第一ホテルで「緑の力で街を元気に」をテーマに講演した。安藤氏は「わたしは御堂筋に誇りを持って生きてきた。大阪の人間はもっと大阪に誇りを持たなければならない」と提言。
 「マルビルの取り組みには可能性を感じる。建築家はすぐ新たしいものをつくりたがるが、そうは思わない。昔の痕跡が残らないと、ふるさとがなくなってしまう。マルビルが都市の記憶を後世に伝える存在になってくれれば」と話し、「マルビルの壮大な取り組みは苦労を重ねると思うが、がんばっていきたいので、ご支援をお願いしたい」と呼び掛けた。
 日本の建設技術についても言及し「建築・土木ともに世界で最高のものを持っているが、素晴らしい技術を持つ職人たちは冷遇され、次代の担い手もいない。日本はこれからどうするのか」と警鐘を鳴らした。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月10日

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