中日本高速道路名古屋支社は25日、中央自動車道恵那山トンネル(下り線)の天井板撤去工事の現場を公開した=写真。工事は、中津川インターチェンジ(IC、岐阜県中津川市)~飯田山本IC(長野県飯田市)間で同トンネルを含む約13㎞の区間を昼夜連続対面通行化、換気用の天井板を撤去し、代わりに送風機(ジェットファン)を8機設置するもの。20日から着工し、岐阜県側は約1000m(進捗率約20%)、長野県側は約660m(同約15%)の距離まで撤去工が完了し、隔壁板跡補修工に取り掛かっている。7月10日午前の完成・開通を目指している。施工は大林組が担当。1日当たり延べ約1500人(2交代制約750人)を動員。総工費は工事完了後の協議で決めるが、概算で約50億円を見込んでいる。
同支社では、2012年12月2日の中央道・笹子トンネル天井板落下事故を受け、同様の構造の天井板を備える恵那山トンネル(下り線)の緊急点検を行い、安全性を確認したが、さらなる対策として、換気設備の更新計画を前倒し、天井板を撤去することにした。
恵那山トンネルは、園原IC(長野県阿智村)~中津川IC間に位置する。笹子トンネル(1975年供用開始)同様、上り線と下り線のトンネル2本がある。天井板は、下り線トンネル(延長8489m、75年供用)のほぼ全区間に設置されており、上り線トンネル(同8649m、85年供用)には天井板はない。
工事は、6月20日から7月10日まで実施。天井板撤去工事は、笹子トンネルと同様、ドーリー(大型自走式台車)を使って行う。作業内容は、まず下り線トンネル内の天井板撤去場所にドーリーを入れ、架台を上昇させて、天井板を下から支持。天井板上部のつり金具と天井板の端部を切断し、トンネルと切り離し、架台を下降させトンネルの外へ天井板を搬出する。
天井板の総数は1万7115枚で、送気ダクト(8489枚、主に2200×995×60mm、1枚当たり約0.3t)と排気ダクト(8626枚、主に6030×995×75mm、同約1.0t)を分ける隔壁板は8498枚(2100×940×50mm、約0.2t)。25日午前までに約3320枚が撤去された。
また、笹子トンネル天井板崩落事故の原因と目される天井板吊り金具の接着系アンカーボルト(1万7234本)はガス切断し、内壁に残す。
今回公開されたのは、岐阜県側入り口約30mまでの区間。現場では、天井板撤去後の内壁補修が進められている。隔壁板跡を中心に、クラップなどの補修に使われる塗布材を塗り、残ったアンカーボルトが落下するのを防ぐための繊維製シートを張っている。現在、1日当たり延べ800mずつ撤去・補修工を進めており、進展に伴い作業量を増やしていく見込みだ。
工事の説明に立った中日本高速道路飯田保全・サービスセンターの和久田明所長は「当社の策定した安全性向上3カ年計画を実施する上でも、今回の工事は重要なミッションだと考えている。決められた期間内に100%の工事が終わるように進めていく」と意気込みを語った。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月27日
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