2013/06/04

【完成】鹿島神宮「一之鳥居」 復興シンボルへ大成建設施工

魔性退散を願う「蟇目の儀」
茨城県鹿嶋市の北浦内に、水上に建つ鳥居としては国内最大規模となる鹿島神宮の「一之鳥居」が完成した。水底からの高さは厳島神社(広島・宮島)の水上鳥居より2m余り高い約18.1mで、最上部の笠木幅は約22.5m。大成建設が施工を手掛けた。古来からの歴史と伝統を守るだけでなく、観光振興や東日本大震災からの復興のシンボルとしても期待されている。

鹿島宮司(右)から吉浜支店長に感謝状を贈呈
神宮の西方約2㎞の湖上に建立された一之鳥居は、2014年9月に行われる12年に一度の式年大祭「御船祭」に向けた記念事業の一環として建設。4月18日に地鎮祭が行われ、5月13日には鳥居を傷つけないように細心の注意を払いながら、クレーンによる水中設置が完了した。
 老朽化した旧鳥居の建て替えに当たっては、文献などをひも解きながら史実に残る形状を再現、場所も陸上から水上に戻した。鳥居の素材は100年以上持つという新日鉄住金製の耐候性鋼板(厚さ12mm)で、朱塗りで仕上げられている。高い加工技術を駆使し、上下・左右で微妙に太さの異なる鳥居を作り上げた。
 1日の竣工祭では、魔性退散を祈念して鏑矢(かぶらや)を放つ「蟇目(ひきめ)の儀」などが執り行われたほか、祝いの餅まきも催され、大勢の人でにぎわった。鹿島神宮の鹿島則良宮司は「すばらしい鳥居ができて、われわれもうれしく地元の方々にも喜んでいただいているが、一番喜んでいるのは鹿島の神様だと思う」と笑顔で語った。
 式典後の祝賀会では、鹿島宮司から施工者らに感謝状が手渡され、代表してあいさつに立った大成建設の吉浜紀光専務執行役員東京支店長は「持てる技術と英知を結集し、無事故・無災害で完成させることができた。まさに『地図に残る仕事』をさせていただいた」と謝辞を述べた。
 来年の御船祭では桟橋を設け、神輿(みこし)が鳥居をくぐって水上神幸(しんこう)へ出立するという見せ場も計画されている。また、14年6月には東日本大震災で倒壊した「二之鳥居」(通称・大鳥居)も、参道入り口に再建される予定だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月4日

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