2013/06/30

【BIM】点群データの最新活用 3次元計測フォーラム「SPAR J」が熱気

点群などの最新技術が集まる3次元計測フォーラム「SPAR J」は毎年、参加者数を伸ばし続けてきた。主催者であるスパーポイントリサーチの河村幸二氏は「啓発の段階は終わり、実ビジネスを加速進展すべき段階に入った」と強調する。前年の混雑を踏まえ、6月5、6日に川崎市で開かれた第9回フォーラムは、参加費などのハードルを上げたものの、意欲のある約650人が集まり、熱気にあふれた。
 建築での点群データの活用は、改修工事のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や歴史的建造物の記録などから始まっている。SPAR Jでは、点群を効率的にモデル化する技術として、本間里見熊本大准教授は、部位や部材を認識した点群データの処理方法を提案。計測の制約が多い建築設備を3次元スキャンするノウハウとして、新菱冷熱工業はトータルステーションで補足した計測事例を紹介した。

多くの人が詰めかけた展示会場
土木では、トンネルや橋梁などの事故防止や長寿命化に向けた計測に使われ始めている。道路トンネルの健全性評価に使うデータを車両で走行しながら取得する技術として、計測検査は、ひび割れなどを目視するための映像と、変形などをとらえるための3次元レーザー計測を、1回の走行で同時に実施する事例を発表。河川では、水中構造物の維持管理技術として、共栄測量設計社が水中音波(ソナー)を使った3次元計測技術を紹介した。計測リサーチコンサルタントは、小型のUAV(無人航空機)に市販のデジタルカメラを載せて河川の全体概要や側面を撮影しているという。
 レーザーと写真は、精密さと簡易さなど、用途によって使い分けられている。
 写真計測でも、デジカメの2枚以上の画像データを基に、3次元座標を解析する簡易な技術が登場した。クラボウの「Kuraves MD」は、現状の航空写真を3次元化し、他のCADデータを配置できる。CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)設計システムなどを開発している横河技術情報は、製造業の寸法検査などに写真計測技術を提供している。
 一方、レーザー計測では、億単位の膨大な点群の処理が課題となっていたが、ベントレー・システムズの「Pointools」など高速表示を可能にするツールが登場。シスプロは、点群データ内をゲームのように歩き回ってレビューできる「Walkinside」を紹介している。
 今後も、BIM・CIMに関する建設業界の取り組みや、インフラの高度なメンテナンスに関する河川・道路管理者のニーズの高まりに合わせ、点群技術の進歩と実例に注目が集まりそうだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月26日

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