2014/03/10

【無人化施工】鳥の視点で見る重機 フジタと東大共同開発

オペレーター用提示映像(左:前方映像+右:俯瞰映像)
フジタと、東大大学院工学系研究科精密工学専攻の淺間一研究室・山下淳研究室は、無人化施工の「俯瞰映像提示システム」を共同開発した。固定カメラを別途設置しなくても、建設機械の前後左右に取り付けた4つの魚眼レンズカメラの映像を合成して疑似的に建設機械を上から眺めた映像を生成することができる。同社が国土交通省九州地方整備局九州技術事務所と共同開発した遠隔操縦ロボット「ロボQ」と組み合わせることで、災害対応力、操作性が向上する。2014年度中の実用化を目指す。
 俯瞰映像は、東大淺間研究室・山下研究室の研究技術を応用したキャリブレーション方法を使って、機械の4方向に取り付けた魚眼レンズカメラの映像を合成し、擬似映像をつくりだす。
 俯瞰映像だけでなく、遠隔操作に必要な任意の方向の映像生成と、それらの映像の遠隔操作による切替方法も確立した。また、これらの映像をひとつの無線回線を使ってハイビジョン画素数(1280×720ピクセル)で伝送する装置も開発した。
 システムとロボQを油圧ショベルに組み込み、俯瞰映像が与える操作性の影響についての遠隔操作実証実験を実施した結果、ショベルの前方だけにカメラを設置した場合に比べて、走行時の障害物回避や停止位置精度、掘削時のバケット刃先の位置決め精度が優れていることが確認できた。位置決めについては1.5-3倍の精度向上が図られた。
 これまでの無人化施工の映像提示手法では、油圧ショベルの前方にカメラを搭載するとともに、ショベルを外部から撮影できる位置に固定カメラをあらかじめ配置して、映像を組み合わせていたが、緊急災害への対応では安全面などから固定カメラの適切な配置が困難なケースも多い。
 今回開発したシステムは機械に取り付けたカメラだけで重機上部からの視点も確認できるため、固定カメラが不要となり、緊急災害への対応力も向上する。
 今後は、無人化施工現場での実適用に向け、画像の高精細化、耐久性向上、さまざまな建設機械への適用などについて検討を進める。災害対応のほか、トンネルの掘削、はつりなど、人の健康に影響を与える場面での導入も視野に入れている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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