東鉄工業は、JR山手線の東京~浜松町駅間とJR中央線神田~御茶ノ水駅間の東京レンガアーチ高架橋の耐震補強工事を進めている。東日本旅客鉄道(JR東日本)が2012年度から始めた首都直下地震対策の一環で、17年に完了する予定だ。計42径間を施工予定で、既に23径間の施工を無事故で完了している。
工事では、レンガアーチ内側に厚さ40cmの鉄筋コンクリートを巻き立てる。地表面から約4m下の既設レンガ基礎部まで掘削し、底板、側壁、アーチの順で構築して閉合する。レンガアーチ高架橋は、江戸時代から段階的に埋め立てられた場所に、明治期以降に建設されているため、湧水対策をしつつ、旧構造物のガラ、木製の仮設材を撤去しながら掘削を進める。
アーチ部内空はレンガと鋼製型枠に囲まれた閉塞された空間で、アーチ上部への充填状況の確認が難しいため、自己充填性のある高流動コンクリートを使っている。また、アーチ中央部に充填状況を確認する確認孔を設け、施工品質を確保している。
施工中、鉄筋組の様子 |
狭いスペースでの重機作業やダンプによる土砂搬出、コンクリート打設作業では、小型機械や人力作業が主体となるほか、鉄筋や足場材の資機材を少量ずつ搬入するなど、細部にわたり作業進捗の管理が必要になる。
レンガアーチ高架橋は、経年による目地切れなどが発生しており、線路上から浸透した雨水が高架下の店舗などに漏水し支障を来している。このため、耐震補強工事に合わせて、導水樋やウレタンゴムによる塗布防水などで水密性の高い漏水対策を施し、付加価値の高い高架下空間を形成している。
コンクリート打設 |
和泉勝久工事所長(東鉄工業)は、「利用高架橋の耐震補強は、利用者との協議成立が第一条件となる。その上で利用者の意向を伺い、決められた期間内に完了させなければならない。今後予定しているレンガアーチ高架橋もJRと連携し、想定される首都直下地震対策として、早期に耐震補強工事を完成させたい」と話す。
2年前からレンガアーチ高架橋の耐震補強を担当する衣川修平さんは、「施工場所が都心部の繁華街にあり、多くの一般歩行者や店舗のお客さまが絶えず、本体工事に加え、仮囲いなどの仮設物にも気を配る必要がある。これからも気を抜かず、列車安全、お客さまや歩行者への安全を最優先に工事監理に努めたい」と意気込みを示す。
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