越後中里駅~越後湯沢駅を除雪するMCR |
豪雪地帯だけに、除雪車「モーターカーロータリー」(MCR)は同社内で最多の10台を保有し、JRの投排雪保守用車(ENR)3台と合わせた計13台で連日、線路上の雪をかき分ける。MCRは降雪がおおむね10cmを超えると10台がフル稼働するという。取材した6日は6台が出動し、7日には10台すべてが稼働する予定が組まれていた。
基本的にMCRは1日1回出動して除雪作業に当たるが、降雪が多いエリアなどでは、夜間と日中の2回出動する。大雪の影響で列車が止まったり、線路脇の雪が崩れた場合などには緊急出動の要請があるため、降雪期の約3カ月間は気の抜けない状況が続く。
同出張所の中村進所長は、除雪に当たり「速度制限標識や信号機などの設備を壊さないよう、慎重に作業を進めなければならない」と細心の注意を払う。MCRがはき出す雪の飛距離は最大40mに達し、線路に近接した民家などに当たらないように投雪するためには、高度な技術力も要求される。
MCRには原則、責任者の東鉄工業社員、協力会社の運転手と除雪装置操作者の3人が乗り込む。責任者はJRの列車制御指令室(CTC)との綿密な連絡調整や状況に応じた雪の捨て場の指示のほか、作業時間の延長も判断する重要な役割を担う。
列車が安全に走行できるかどうかは現場の判断に委ねられているだけにプレッシャーも大きいが、責任者になって3年目を迎える越後湯沢出張所の福田真彦主任は「中途半端な状況でやめてしまえば結果的に後々の列車運行に影響が出る。列車の安定輸送ができる状態まで『やりきる』という姿勢で臨んでいる」と強い使命感を持って日々の作業に当たる。
「雪質や風向きによっては投雪の方法も変わってくる。同じ場所にばかり雪を集中させると雪崩が起こり、列車運行に影響する可能性もある」(福田主任)ため、作業にはテクニックだけではなく、高度な判断力が求められる。
過酷な状況下で人力に頼らざるを得ない部分も多い |
降雪、厳寒下での作業は常に危険も伴うため、安全対策にも万全を期している。中村所長は「吹雪いている場合は、運転席から前が見えにくくなるので、CTCとの連絡調整を徹底にするなどして、安全な作業を確保する」と説明する。過去の事例から現場でのリスクを再確認する独自のツール『要注カード』などを活用した安全管理にも余念がない。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
0 コメント :
コメントを投稿