老朽化に伴い補修した旭橋 |
栃木県さくら市の内川にかかる県道塩谷喜連川線・旭橋。経年に伴う老朽化が顕著なことから、同県矢板土木事務所がことし補修工事を実施した。設計を担当したニューフロンティア(宇都宮市、鈴木浩之社長)は、劣化の激しい部分は従来の断面修復工法で補修を行い、橋の大半を表面含浸工法で補修することを提案。県が検討を重ねた結果、ケイ酸塩系含浸材の採用を決めた。
表面含浸工法は含浸材を塗布するだけで施工性が高くコストダウンになる。エポキシ樹脂などによる表面被覆工法のように何重もの下地処理をする必要もなく、施工前と素材感が変わらないため施工後もコンクリートの目視が可能になる。含浸材の素材は、コンクリート表面のシール性を高めるシラン系が主流だが、これだけでは内部の劣化が進展してしまう可能性がある。コンクリート内部に浸透して組織の緻密化を図り劣化を止めるケイ酸塩系を併用することで本質的な長寿命化が可能になる。
塗布するだけで施工性が高い |
採用の背景として、同県は現在956橋(橋長15m以上)を管理しており、20年後には46%が建設後50年を超える。より多くの橋梁をより早く長寿命化し、事故リスクを減らして住民の安全を確保することが、最重要テーマになっている。
県全体や全国でみれば、5%の削減は大きい。工期短縮や作業員の回転が上がることも併せ、より早く次の橋梁の補修に着手できるからだ。こうしたメリットは単なる性能比較などでは見えてこない。個々の現場でハイスペックなものを選択し続けるだけでは、必ずしも住民全体の安全確保につながらない。ストック時代の新技術選びには、こうした新たな観点が求められる。
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