10分ごと温度環境をシミュレーションしている |
2次側熱交換器メーカーのイメージが強い同社だが、今は外調・空調システム制御にまで事業範囲を広げている。「空調システムの電力消費に大きなウエートを占めるファンやポンプなど搬送動力の大幅削減が図れるよう、システム制御の分野にまで踏み込んだ」と住田氏。冷温水と送風の基準温度を見直し、空調システム全体を最適化した。
冷房時には、空調機冷水入口温度を7度から「10度」、出入口温度差を5度から「10度」、送風温度を16度から「13度」に設定値を変更。これにより原理的には各々熱源動力は2割、ポンプ動力は5割、ファン動力では3割の削減となる。小容量空調機の分散設置によるきめ細いゾーン化や、リターンダクト廃止によるシステム静圧の削減効果も合わせると、システム全体の電力消費を半減できる。
大温度差仕様はこれまでは熱交換器サイズが拡大し、コストアップで敬遠されていたが、開発した伝熱管「オーバルコイル」は丸管に比べ1㎡当たり120%の熱伝導率を実現。結露回避の目的もあった16度の送風温度を13度に引き下げても、吹出口構造を誘引型にすることで室内空気との混合でパネル温度を露点温度より高く維持できるようにした。
この誘引型全空気式の放射整流パネル『エアビーム』の採用は別の効果も生んだ。通常のエアコンでは室内上下温度差が3-4度であるため、室内環境の維持に弱運転のサーキュレーションが作動する。温度差を1度以内に抑えられるエアビームは、ワンスパンごとでファン停止でき、大幅な省エネ効果につながる。
2年半前に木村工機東京オフィスに導入 |
ことし4月に開校予定で、国土交通省の省CO2先導事業に採択されている愛知学院大キャンパスにエアビーム600台が納入できたのもこの実績が決め手となった。みずエクセルは13年度「省エネ大賞」をビジネスモデル種別で獲得。住田氏は「工事やシステム側に潜む無駄をいかに排除し、かつライフサイクルコストを下げるか。それが本来のZEB化の課題」と強調する。
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