2014/10/18

【3次元計測】3学会が枠超えシンポ 協力して知見を発信、産業界とのコラボも視野に

3次元計測に対する産業界のニーズが高まりを見せる中で、レーザースキャニング技術と写真測量技術の研究者たちが協力し合い、その知見を積極的に発信する動きに発展している。
 9月に東京都文京区の東京大学山上会館で開かれた3次元計測の研究成果を集めたシンポジウム「3Dレーザースキャニング&イメージング」。主催した動体計測研究会(会長・近津博文東京電機大教授)は、日本写真測量学会(同)と精密工学会大規模環境の3次元計測と認識・モデル化技術専門委員会(委員長・増田宏電気通信大教授)などの共催を得て開催にこぎ着けた。

 近津会長、増田委員長らがシンポジウムを企画したのは1年ほど前。国土交通省が2013年を「社会資本メンテナンス元年」と位置付けたことで、写真測量学会などはデジタルデータの視覚化、精密工学会は3次元データ処理などを出発点としながら、老朽化する土木・建築の構造物や設備の維持管理・整備分野への対応に注目していた。研究テーマには共通点が増え、一部では技術的な融合も始まっていた。

近津会長(右)と増田委員長
動体計測研究会では、航空測量などの分野でレーザーと写真測量の両方の研究者が参加しており、以前から精密工学会との交流が進んでいた。技術的にも、レーザーが台頭する以前に主流だった写真測量が再評価され、両者を「競合する技術」ではなく「補完し合う技術」としてとらえ直す動きが現れていた。こうして学会の枠を超え、協力し合う機運が高まり、今回のシンポジウムが実現した。
 シンポジウムには定員を上回る120人強の参加申し込みがあり、3次元計測への関心の高さが浮き彫りになった。発表内容も維持管理における無人飛行体やモービルマッピングシステムの活用、取得したデータからの必要情報の抽出や統合、生産段階における現場管理への応用など多岐にわたった。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の研究者や民間企業も名を連ねた。
 シンポジウムは、知見の発信にとどまらない。増田委員長は「技術を持っている大学の先生方は多いが、ニーズが必ずしも分かっていない。使う側が一緒にならないとできない」と話す。近津会長も「データをお借りし、分析するなど、産業界とコラボレーションしながら研究を進めていきたい」と力を込める。両者は今後もシンポジウムを少なくとも隔年のペースで開催する計画。学会同士の交流に加え、産学連携も積極的に進める考えだ。
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