2014/10/26

【技あり】現場の資機材をICタグで無人積み込み・搬送! 大林組が実用化

大林組が開発した、建設現場の資機材を水平搬送するロボットが現場の省力化に大きく寄与している。ことし6月に開業した虎ノ門ヒルズの現場で、このロボットを活用した「自動搬送システム」を初適用し、従来の搬送方式に比べて2分の1から3分の1程度に省力化する成果を残した。現在は、商業施設などワンフロアの面積が大きく、長尺な資機材の搬送が多い現場向けに、けん引型のロボットも開発して試験適用を始めた。

 建設工事で取り扱う資機材は大きく重量のあるものが多く、単純な繰り返し作業である運搬に多くの時間と労力を要している。同社は、この運搬にかかる労力を省力化できれば、多くの作業員が技能労働に専念できると考え、専門工事会社が個々に実施していた資機材の搬出入などを工事現場全体で集約・効率化する専門組織(物流センター)を1996年に立ち上げ、現在までに全国で100を超える現場に導入して効果を上げてきた。
 水平搬送ロボットは、作業員不足が深刻化する中、さらなる運搬の省力化を目指して開発した。仕上げ・設備工事などに使用する資機材を対象とし、フォークリフトや電動パレットなどで行っていた作業を自動で行う。資機材に搬送先を明示したICタグを置くだけで、ロボットが無人で資機材を積み込み、指定したエリアまで搬送する。
 搬送経路には磁気テープが敷かれており、貼り付け・盛替えが簡易にできるため、作業の進捗に応じて経路を自在に変更できる。
 ロボットは、荷台の左右にスライド機能の付いた低床ジャッキを備え、このジャッキを資機材の下に潜り込ませて積載を行う。ジャッキが低床設計なため、一般的なフォークリフトに必要なカウンターウェイトを搭載していない点も特長の1つ。屋内でフォークリフトを使用する場合、その荷重を支えるために床を補強することが一般的だが、このロボットは本体重量がフォークリフトに比べて軽量(350㎞)なため補強が不要だ。
 虎ノ門ヒルズの現場では、低層用と高層用に分かれていたエレベータ間で資機材を移し替える必要があったため、移し替える階を資機材のストックヤードとし、その階での搬送にロボットを導入。ロボットには資機材を指定した場所に搬送するだけではなく、並べ替える機能も併せ持ち、終業後に、当日運び込まれたままの資機材を翌朝の作業に備えて整列させることもできる。

けん引型の搬送ロボット
第2弾となるけん引型ロボットも試験適用した現場で重宝されており、同社では、今後も運搬の省力化に向け改良を進めていく。
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