RC積層工法は、プレキャスト(PCa)工法と在来工法のそれぞれの利点をシステム的に組み合わせて、RC造建築物の躯体を構築する工業化工法で、主要な構造体の大部分をPCa化することにより、高品質で精度の高い構造物を実現する。同工法の採用は当初から決まっていたが、「どの部材をPCa化するかは、コストや工期、タワークレーンの能力などを勘案して現場で判断した」(最上所長)。
その結果、柱以外の梁、床、バルコニーをPCa化することを決め、2013年9月から躯体の構築を開始した。施工条件に基づいた現場の判断を反映できたのは、自社による設計施工の強みといえる。
■打ち合わせと勉強会重ね「6日サイクル」実現
現場一体となり省力化に取り組む |
ただ、当初は思ったとおりに進まず、「1フロア7、8日を要した」と明かす。札幌支店で久しぶりのRC積層工法だったため、「まず資料を集め、経験者にヒアリングし、本社にも足を運んで打ち合わせを行った。その上で計画を立て、それを図面に落とし込み、何度も議論を重ねた」
実際に作業する職人らとも勉強会を実施し、「改善しながら施工を進めた結果、3、4回で1フロア6日サイクルを実現した」。コンクリートの強度が柱や梁、床で異なるため、通常であればそれぞれ別日に打設するが、「同日に柱と床のコンクリートを打つ方法に改善し、柱のコンクリートを打設後、その周囲を打ち継ぎラス網で仕切り、床スラブを打った」と説明する。
在来工法であれば、平均20人程度の型枠大工が必要となり、日によってばらつきもあるため、その確保に困難を強いられるが、「RC積層工法を採用したことで、型枠大工は平均7、8人で済んだ」
■自社アプリ「Field Pad」が大活躍!
「Field Pad」を使いこなす入社1年目の立田紘章工事係 |
出来高による進捗率は60%(11月13日現在)。「札幌市の中心街で目立つため、工場の中でつくっているようなシステマチックな建築を目指している」との方針を明かした上で、「第三者から見てもスマートな施工ができれば安全、品質の両面で良いものができる」と竣工に向けて気を引き締める。
◆工事概要
▽規模=RC造地下2階地上38階建て延べ3万0455㎡▽用途=共同住宅(235戸)▽工期=2013年3月15日-15年8月31日▽敷地面積=3305㎡▽建築面積=2065㎡▽建設地=札幌市東区北7条東1丁目1-6。
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