11月22日に長野県北部を襲った「長野県神城断層地震」の発生から1週間以上が経過し、いま被災地では2次災害防止対策や復旧関係工事が進んでいる。今回の地震は、山岳地帯の地震リスクの大きさと、全国各地で防災・減災に取り組む必要性を改めて浮き彫りにした。
◆地震発生翌日23日午前
長野県建設業協会によると、長野建協大北支部が発災後ただちに災害対策本部を設け、県などと連携して「生活道路の確保など可能な限り手を尽くしている」という。国土交通省関東地方整備局からファクシミリで被害状況などの速報が送られてくる中、とにかく被害の大きかった白馬村に向かう。大宮から新幹線で長野、長野から特急に乗り換えて松本に出て大糸線に乗り継ぎ、午後7時ごろに信濃大町駅に着いた。
◆地震発生2日後早朝
駅員の話しでは同駅から白馬方面への運行見通しは立っていないが、代行タクシー(信濃大町~白馬)が出ているという。駅周辺で宿泊。翌24日午前6時、家屋が多数倒壊している同村堀ノ内に向かった。車は、最寄りとなる神城駅まで大糸線に並行する形で走り、各駅の状況を確認しながら40分程度の道のり。運転手は「もし積雪期だったら被害はもっと大きかった」と話す。
長野県栄村と新潟県津南町との県境付近で発生した長野県北部地震(2011年3月12日)が連想された。新潟県中越沖地震(07年)、新潟県中越地震(04年)など過去の地震と同様、内陸型の活断層が引き起こしたのが今回の地震。東日本大震災以降、国を挙げて進めている南海トラフなどの海溝型地震の対策に目を奪われがちだが、今回を契機に内陸型活断層を踏まえた対策もより重要度が増すだろう。
被害が最も大きかった地区の大糸線最寄り駅の神城駅では20分程度歩くと、段差やひび割れなどが目立つ道路の先に、倒壊した家屋が多数横たわる。
◆地元重機は既に待機
周辺の喧噪の中、集落に近い道路(下水処理場前)では大糸(白馬村)の作業員が段差やクラック深さなどを計測していた。この後、待機していた地元建設業の重機が現場に移動し、本格的に仮復旧工事が始まった。被災直後から、地元企業の重機が応急復旧へ向け待機していることは、地方建設業界が標榜する「地域の町医者」を改めて実感させた。
信濃大町駅に戻ってから、市内の大北建設会館に出向いたが全員不在で、そのことが逆に震災後の現場対応へ全力を投入していることをうかがわせた。同日夕方、西沢信男支部長とようやく連絡がとれ、「昨年のいまごろは雪が降っていた。ことしもいつ降り出してもおかしくない。スピード感を持って復旧させたい」という。地震リスクが一層増す積雪期までの復旧を願わずにはいられなかった。
(北関東支局長 田野文規)
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