2014/12/21

【技術裏表】“大部屋”流の開発方式で、一番安いLED防犯灯を作る! 岩崎電気

「究極のものづくりが実現した」と、岩崎電気の五月女和男取締役執行役員埼玉製作所長兼製造統括本部長は10月に発売した取付間隔20mの防犯灯『レディオック・ストリート10VA』を指差す。開発期間わずか4カ月で、従来品の半額近くまでコストを引き下げ、業界で初めて1万円を切る価格帯に踏み込んだ。製品開発のスタート時から関連部署の担当者全員が議論を始める“大部屋”のものづくり改革が、同社の競争力を下支えしている。

 トヨタ自動車の関連コンサルチームからものづくり改革のアドバイスを受けたのは2009年10月。3社の統合によって発足したグループ会社「つくばイワサキ」のものづくり改革に取り入れたのがきっかけだった。その1年半後の東日本大震災を機に、LED(発光ダイオード)照明のニーズが一気に高まり、製品ラインアップは当時1万点にも及んだHID(高輝度放電)照明からの大幅な変更を余儀なくされた。
 五月女取締役は「70年もの長きにわたり、HID照明のものづくりを確立してきた。技術革新が急速に進むLED照明への転身はわれわれにとって大きなインパクトをもたらし、ものづくりのやり方そのものを変更せざるを得なかった」と振り返る。そこで取り入れたのが、トヨタに学んだ大部屋による源流主義の開発手法だった。

大部屋方式は開発スタート時から関連部署が意見を交わす
これまでは企画と開発の部隊が先行して新製品の検討を進め、方向性が具体化するにつれて試作、品質、調達、設備の関連部隊が順に開発チームの中に入ってきた。これを変更し、開発スタート時から関連部署の担当者全員が集まり、製品の方向性をそれぞれの視点から同時に検証するものづくりのスタイルに移行した。
 製造統括本部生産革新部の沢田行広生産革新課長は「LED照明は一から製品をつくる難しさはあるが、開発当初にコスト目標を定め、そこに向かって全員が突き進む大部屋方式のものづくりを実現できれば飛躍するチャンスである」と考えていた。大部屋方式への移行に合わせ、コストデザインの専門部署も設置した。

同じ目標に向かって議論する流れに
「世の中で一番安い防犯灯をつくろう」。同業他社は1万2000円台の防犯灯を発表していた。大部屋(会議室)に集まった各部署の担当者は1万円を切ることを目標に動き出した。自社製品は1万8000円台と水を開けられ、価格を半分程度にまで引き下げる議論は発想の転換が必要だった。
 製造統括本部の井上博文副本部長は「大部屋では4つの案をトレードオフしながら、すべての要求の最適化を進め、あらゆる可能性を議論する究極のものづくりが実現した。ここで得たものづくりの進め方は別の製品にも生かせる」と手応えを口にする。
 たどり着いたのは、これまで区分けしていたLED基盤と電源基盤を一体化する発想だった。同本部の長嶋睦夫製造企画管理部長は「基盤を1つにしたことで、大幅なコストダウンが実現したほか、ねじ止めの数も4つに抑えることができ、生産効率を高めることもできた」と強調する。
 当初12個を見込んでいたLEDの搭載数を、レンズの光ロスをなくす工夫などによって5個にまで削減できたことも大きかった。「大部屋では8個の方向で議論が進んでいたが、コストデザインチームが引かなかった。こうしたひと工夫が商品力になる」(五月女取締役)。10月に販売したレディオック・ストリート10VAの販売価格は9800円と業界で初めて1万円を下回ることに成功した。

価格9,800円の防犯灯『レディオック・ストリート10VA』
同社の2014年度製品開発目標は1000点。既に600点を商品化し、目標達成のめどを立てている。各部門の担当者が1人当たり3、4点の案件を抱え、同時並行で開発が進んでいる。原価低減効果も鮮明になり、材料費は従来より48%減、労務費・経費は20%減を記録した。
 これまで新製品は工場の生産が安定するまで1カ月ぐらい必要だったが、防犯灯は組み立ての簡易化も含めた開発時の配慮もあり、わずか3日間で生産が軌道に乗った。五月女取締役は「ものづくりまでの上流を担う大部屋方式の改革は完了し、現在は製造・運搬までの川下段階の改革に移行している」と次なるステージに進展していることを明かす。
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