2014/12/24

【賃貸住宅管理】大学生が「管理業務で家賃減免」の社会実験 明海大と日管協

明海大学不動産学部(千葉県浦安市、中城康彦学部長)と、日本賃貸住宅管理協会(日管協、末永照雄会長)は、大学生が賃貸住宅の管理をする「オンサイトマネージャー制度」の社会実験を始めた。写真は右から中城学部長、管理会社アミックスの鎌田氏、社会実験に参加する学生の木下さん。

 学生が住み込みで共同住宅の管理をする代わりに、住居費を軽減して、地方からの進学者を増やすのが狙い。学生が週に数時間、共用部の清掃やごみの分別を行い、その代わりに賃貸住宅の家賃を減免する。
 学生は住居費が安くなり、管理会社は「その住宅に住んでいるからこそできる、きめ細かい管理や、住宅の質の向上」が期待できる。大学は、地方からの進学者を確保できるというメリットがある。
 社会実験として、11月から同大の大学院生が、千葉県市川市にある40戸規模の賃貸住宅の一室に入居した。住宅の管理会社はアミックス(本社・東京都足立区)で、週2回通算5時間程度の清掃作業を学生が行い、月に2万4000円程度の家賃減免を受ける。
 中城学部長は「米国では一般的なオンサイトマネージャー制度を、日本でも職能として定着させたい」と話す。日管協も「不動産学部に学ぶ学生に、実際の不動産管理を体験することで興味を持ってもらいたい」と制度化に期待を寄せる。
 実際に入居している木下さわこさんは「管理の仕事自体は、会社と話し合って時間シフトも可能にしてもらっている。清掃などの仕事は誰かがしなければならない。この制度を通じてやる気が出る」という。

住宅のエントランスにはクリスマスの飾り付けを
清掃だけなく、受付には季節に合わせた飾り付けや、メッセージカードなども置いてあり、入居者にとっても居住環境の質が向上している。
 今後は、オンサイトマネージャーが管理する具体内容なども詰めながら、実用化へのブラッシュアップを行い、「明海大の不動産学部に毎年入学する250人の希望者に割り当てられるくらいの物件を確保」(中城学部長)できるようにする考えだ。
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