2014/12/19

【災害ロボ】国交省が人型など6技術を雲仙で検証

国土交通省は、災害対応ロボットの現場検証を長崎県の雲仙普賢岳で15日から19日にかけて実施している。現場を公開した17日には、産学官で構成する「次世代社会インフラ用ロボット現場検証委員会」を始め、地元自治体や開発関係者ら約80人が参加し、検証状況を見学した。写真は富士建のDOKAROBO。

 人の近づくことが困難な災害現場の早期復旧に貢献する実用性の高い災害応急復旧のロボットを公募し、このうち実用化に近い5者6技術を現場検証した。応募は維持管理で橋梁、トンネル、水中(ダム、河川)の3分野、災害対応では災害調査でも実施しており、九州では調査分野を8日から11日にかけて鹿児島市の桜島で現場検証している。

操縦の様子
今回の6技術は汎用機にロボットを外付けする富士建の人型ロボット「DOKAROBO」、コーワテックの「災害復旧用無線遠隔操縦ロボット」、魚眼レンズカメラの画像処理で俯瞰画像を生成・提供し、従来のロボットの操作性を向上させたフジタの「俯瞰映像提示システム」、熊谷組の制御情報技術「CAN制御車両の遠隔操作システム」と「低遅延型デジタル高精細画像伝送システム」、大林組の排水作業の応急対応技術「ポータブルサイフォン排水」となっている。
 検証では、掘削積込や走行、誤動作確認など行った。同じオペレーターが操作し、外付けのロボットでは同規格の重機を使う。ポータブルサイフォン排水は過去に排水実証を終えているため、配管設置検証のみを実施した。

検証状況を見学
検証に当たり、同委員会の淺間一東京大大学院工学研究科教授は「災害現場を中心にロボット技術の活用が求められ、開発が進められているが、現場での実用は難しい。無人化施工が生まれた雲仙普賢岳の砂防現場でこうして検証が行われるのは意義深い。検証を通して課題を克服し、完成に向けて努力してほしい」と激励した。地元自治体の古川隆三郎島原市長は「噴火で多くのものを失ったが、ここで生まれたものもある。無人化施工は島原発であり、世界基準の技術となった。今後も技術を飛躍させ、復興のシンボルになってほしい」と開発に期待を寄せた。検証結果は同委員会が2015年1月までに評価する。
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