2014/12/08

【JIA東北・建築学会】コンペ受賞作に適合する資材・製品をプロが指南 建築学生テクニカルセミナー

日本建築家協会東北支部(JIA東北、辺見美津男支部長)と日本建築学会東北支部建築デザイン教育部会(櫻井一弥部会長)は3日、仙台市青葉区のせんだいメディアテークで建築学生テクニカルセミナーを開いた。建築教育と建築実務界をつなぐプラットフォームづくりの一環として、先に行われた第18回東北建築学生賞の入賞作品に対し、JIA東北支部協力会が技術や材料などの情報を提供。学生に建築を成立させる知識を学ばせるとともに、シンポジウムでは建築教育界の現状と課題を踏まえ、あるべき姿を探った。

 テクニカルセミナーの対象には、東北建築学生賞の優秀賞だった築山茉由子さん(日大)の「街のいえ-分節感と一体性」と、特別賞の遠藤茜さん(東北文化学園大)の「まちなか河川の再考~梅田川かわのえき」の2作品が選ばれた。制作者による設計コンセプトの発表と、指導教官および審査を担当したJIA会員建築家からの講評を踏まえ、JIA東北支部協力会員の資材メーカー担当者が、作品を具体化するために必要な資材や製品などを紹介。それぞれの製品の特徴や類似する施工事例などを交えながら、学生たちに分かりやすく解説した。
 続いて、櫻井氏がコーディネーターを務めたシンポジウムには、建築家の藤野高志氏(生物建築舎代表)と小地沢将之仙台高専准教授、窓周りの建設資材を扱うトーソー仙台支店の佐藤浩氏が参加した=写真。
 東北大時代の仲間とSOYsource建築設計事務所を共同主宰する一方、東北学院大教授として後進を指導する櫻井氏は、「建築士試験合格を目的としたカリキュラムや空間の概念に特化しており、素材やインテリアなどの実社会で役立つ知識を学ぶ時間がない」と建築教育界の課題を指摘した。
 小地沢氏は、最近の学生について「設計課題以外で習ったものと、それ以外で学んだ部分をリンクさせることができないのが問題だ。建築以外のさまざまなものにも関心を示し、知識をストックしておけば、いずれ設計に役立つこともある」と学ぶ姿勢の重要性を示した。
 文系の大学を卒業し、建築の専門教育を受けていないという佐藤氏は「最初は図面を読めなかったが、現場に通って学んだ。学校で習うことに加えて、行動力で個性を獲得し、良質な建築家に育ってほしい」と会場に詰め掛けた学生たちにエールを送った。
 第1回東北建築学生賞で最優秀賞に選ばれた藤野氏は「学生時代は建築を鳥瞰(ちょうかん)的に見ていたが、実社会に出てものづくりに携われば、現実的な細かい作業が求められる」と大手ゼネコンや地方の設計事務所での勤務経験を振り返りつつ、「現場でさまざまなものを見て、経験することが重要だ。それらをうまく結びつける力を養ってほしい」と語った。
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