2014/12/25

【復興特別版】3月21日、ついに「まちびらき」! コンパクト市街地で再生する女川町

宮城県女川町の中心部エリアが本格復興に向けて大きく踏みだす。同町は2015年3月21日、新たな「にぎわい拠点」を形成する女川駅周辺の「まちびらき」を実施。これに合わせて東日本旅客鉄道(JR東日本)ではJR石巻線全線で運転を再開する。翌22日には同駅の新駅舎との合築施設「女川温泉ゆぽっぽ」もオープンする。これを皮切りに「まちなか再生」を一気に加速させ、同年秋にまちのシンボル軸となるプロムナードと、その沿道でのテナント型商業施設、16年秋には(仮称)物産センターなどの供用開始を目指す。画像は坂茂氏が設計した新駅舎完成パース。

 震災以後、順次復旧を進めてきた石巻線(小牛田~女川間)では、最後に残った浦宿~女川間(約2.4㎞)について、町とJR東日本が13年2月に覚書を締結し、「まちづくりと一体となった復旧」を進めてきた。
 女川駅の駅舎機能を併せ持った「女川温泉ゆぽっぽ」は、S一部木造3階建て延べ899㎡の規模。建築家の坂茂氏(坂茂建築設計代表)が設計を担当。施工は戸田建設。町の鳥である、ウミネコがはばたく姿をイメージしたという膜構造の屋根が、来訪者を軽やかに包み込む。

公共施設・商業施設・駐車場の整備計画
この駅から女川湾に面した震災メモリアル公園に向かって伸びるプロムナードは幅15m、長さ370m(プロムナード本体は約170m)の歩行者専用道路で、拠点施設をつなぐシンボル空間となる。沿道には、公民連携により、中心市街地の商店街再生に向けた核となるテナント型商業施設や、(仮称)地域交流センター、(仮称)物産センター、集約駐車場などを整備する計画だ。
 このうち、テナント型商業施設と物産センターは、プロムナードが将来“シャッター通り”となることを避け、事業者の入れ替わりができるよう、まちづくり会社の女川みらい創造(鈴木敬幸社長)が町と町有地の賃貸借契約を行い、同社が事業主体となって整備・運営する。商業施設は生活のインフラとして、生鮮食品など身の回り品を扱う店舗や飲食店、小売・サービスなどのテナントで構成することを想定している。全体の建築面積は約2400㎡、店舗面積は約1830㎡とし、整備費は約6億7000万円を見込む。物産センターは住民や観光客向けに水産物を中心とした特産品の販売、飲食、調理体験などのサービスを提供する。詳細は今後詰めていく。
 町が整備する地域交流センターは、木造一部S・RC造平屋建て約1250㎡規模を想定。“まちの居間”をコンセプトに、多目的ホールや図書・キッズコーナー、音楽や調理などのスタジオ、会議・集会室などを設ける。設計は久慈設計で担当。来年1月にも工事を発注し、同年秋の完成を目指す。
 これらの「まちなか再生計画」は、復興庁が12月19日付で認定。政府が被災地の商店街再生を支援するため、3月に創設した「商業施設等復興整備補助金制度」の第1号となる。
 このほか、同町では駅周辺に新役場庁舎と生涯学習センター、保健・子育てセンターなどの整備も計画しており、今後、設計者の選定などを進めていく予定だ。

■コンパクトな市街地形成
 震災で甚大な津波被害を受けた同町は、早期復興に向け、安全な高台に住宅地を整備する一方、JR女川駅を中心とした女川浜地区に公共施設や商業施設、観光施設などを集約整備することでコンパクトな市街地形成を目指している。
 復興まちづくりに当たっては、都市再生機構(UR)とパートナーシップ協定および復興まちづくり事業協定を締結。町中心部の市街地整備と離半島部での住宅地整備など、一体的なまちづくり事業をCMR(コンストラクション・マネジャー)としてURから受託した鹿島・オオバJVを中心に面的整備を推進している。
 ほぼすべての津波被災エリアと高台移転地を対象とした区画整理事業の計画面積は合計で226.4haと被災自治体でも最大規模だが、整備可能な地区から段階整備を進めることで、防災集団移転の受け皿となる宅地や災害公営住宅の早期供用を実現。中心部エリアでも重点的な先行整備を進めることによって、震災から4年となる来年3月での「まちびらき」にこぎつけるなど、スピード感のある事業を展開している。
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