2015/05/08

【道の駅×大学】「日本一の道の駅に!」 学生は就労体験、地域には若者の感性を 

政府が掲げる地方創生の切り札としても期待される「道の駅」が、若者の感性で新たな価値を生むことになりそうだ。地域の観光資源や魅力が凝縮された「道の駅」を学生の課外活動や就労体験の場として活用する、道の駅と大学の連携プロジェクトがスタートを切る。埼玉県吉見町の「いちごの里よしみ」で実習を積む立教大学、栃木県茂木町の「もてぎ」で実習予定の跡見学園女子大学の学生らが7日、太田昭宏国土交通相を表敬訪問し、取り組みへの意欲を示した=写真。

 国土交通省が進める道の駅と大学の連携プロジェクトは、観光や地域づくりを学ぶ学生が道の駅で就労体験型実習(インターンシップ)に取り組むもの。夏季休暇を利用して地域に入り、現場から活性化の道筋を描き出す。
 既に42大学が全国「道の駅」連絡会(会長・本田敏秋岩手県遠野市長)と協定を締結するなど、7、8月の就労体験に向けて、派遣される学生側と受け入れる道の駅側とのマッチング作業が進む。
 地域活性化の担い手となる人材育成に加え、若者ならではの視点を生かした地域振興、地域外にいる若者が持つアイデアや感性を取り入れた新たな価値の創出など、「地方創生」という側面からの若者たちへの期待は大きい。
 7日に太田国交相を表敬訪問した学生たちは「(実習予定の道の駅が)地域活性化の成功事例となるように取り組みたい」「日本一の道の駅にしたい」と意気込みを表明。道の駅「もてぎ」での就労実習に取り組む跡見学園女子大学の筒場理子さんは「見た目にもインパクトがあって女子でも購買意欲がそそられるものにしたい」と、道の駅で売られる地酒のラベルをデザインするという具体的なプランも披露した。
 太田国交相も「政府が掲げる地方創生にとって、地域の拠点となる道の駅の使い方はポイントになる。地域振興ということで言えば、右手に観光、左手に道の駅ということになる」と道の駅が地方活性化にとって重要なウエートを占めていることを強調。「道の駅は注目されている。まち全体の活性化に向けて、みんなで道の駅をつくっていく発想が必要だ」と述べた。
 地域の観光拠点としての機能だけでなく、災害時の防災拠点や地域における子育て拠点まで、その機能の枠を広げつつある道の駅。太田国交相が「地域の拠点として認知されてきた」と語るように、その土地や地域のブランド化を1つの売りにする道の駅は、地方創生にも大きな役割を果たすことになる。
 道の駅の集客力が高まっていけば、その地域に必要となるインフラの質や量も変わる。長い目で見れば、道の駅を核にした観光まちづくりは国土のグランドデザインで示す「コンパクト+ネットワーク」の実現につながるだけでなく、地域の雇用創出やインフラ整備の需要維持という地域建設業にとってのメリットを生み出すことにもなる。
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