2015/02/07

【素材NOW】耐震強度2万1900ガル! 接着剤なし! 豊和が次世代型金属系アンカー開発

豊和(本社・兵庫県尼崎市、安藤和明社長)の「AAPトルネード膨張アンカー」は、安藤社長の画期的な逆転の発想で誕生した圧倒的な強度を持つ次世代型金属系アンカーだ。これまでに西日本高速道路会社の施工性確認試験などで高い性能を証明しており、2014年12月25日には日本建築あと施工アンカー協会(JCAA)の工法製品認証を取得決定。現在は国内のみならず、海外への展開も視野に入れた準備を進めており、世界中により安全・安心なアンカーを広めていく。
 12年に発生した中央道笹子トンネルの天井板落下事故を見て「経年劣化する接着剤を使うのではなく、物理的・構造的な仕組みのアンカーが必要だ」と感じた安藤社長は、それまでに開発していた同じ着想の商品の改良に取りかかった。
 この改良を経て「完璧なものになった」というAAPトルネード膨張アンカーは、大学の立ち会いで実施した耐久試験では耐震強度2万1900ガルを記録。東日本大震災の地震加速度2933ガル、阪神・淡路大震災の818ガルと比べれば、この数字が驚異的であることが一目瞭然だ。西日本高速道路会社との共同研究・開発で実施した関門トンネル天井板改良工事に採用され良好な結果を得ている。さらに昨年9月からは、同社と西日本高速道路会社、九州大学の産官学連携で共同研究に着手しており、ことし4月からは実験もスタートする。
 現在、あと施工アンカーは樹脂系接着剤を使うものが大半だが、笹子トンネルの事故調査で浮き彫りになったように、接着剤の劣化や施工ムラによるボルトの強度不足といった問題がある。

ナットが移動すると母材内で支圧力が円状に分散
AAPトルネード膨張アンカーは、ナットを回すことで側板が広がってコンクリートに押圧させる仕組みとなっており、アンカー体が全周に膨張することで面の力による強度を発揮する。下方向に力を加えれば加えるほど側板の押圧が大きくなって抜け落ちを防ぐ。穿孔した孔の状態変化に追従して広がるため設置初期の保持力を維持し続けるのが大きな特長だ。
 強さや太さ、長さを自由に設計できるのも強みで、1本のボルトにアンカー体を複数個配置することもできる。

容易に設置できる
また、孔に差し込んでナットを締め込むだけで容易に設置できるため施工性も高く、大幅な工期短縮も実現できる。作業者の技量による施工品質の差が生じにくいほか、施工後のトルク管理が数値確認できるため点検も容易だ。
 使用用途は土木工事、建築工事、耐震補強、落橋防止、電設工事など幅広く、あらゆるコンクリートへの取付工事に活用できる。
 JCAAの認証取得によって西日本高速道路会社での正式採用が決定しており、今後はほかの発注者への働きかけを強化していく。現在日本建築センターの評定を申請しており、これが認められれば自治体などの採用が見込めるほか、JRや都市再生機構でも試験などを実施する予定だ。さらに、施工会社への講習などを行う組織整備も進めていく。

豊和の安藤社長
あと施工アンカーの国内における市場規模は、年間約6億本といわれている。同社はAAPトルネード膨張アンカーの将来的な販売目標を年間約1億本としており、16-17%のシェアを目指していくことになる。
 海外では米国やニュージーランドを始め、数十カ国で特許を申請している。各国に複数の代理店を置いて展開していく方針だ。
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