2015/02/05

【都市緑地】鳥さんいらっしゃい! 大林組が自然と共生目指す設計支援ツール開発

大林組は、鳥が好む環境を創出し、自然共生に貢献する都市緑地の設計支援ツールを開発した。日本生態系協会と共同で作成した都市部に生息する樹林性の鳥類を指標種とした生息地評価モデルを活用したもので、大林新星和不動産が所有する複合ビル「oak omotesando」の屋上庭園の設計に適用した結果、地上の緑地部分を含まない屋上単独で国内初のJHEP認証を取得し、小規模な緑地でも質を高めることで自然との共生に大きく貢献できることを証明した。

 生息地評価モデルは、「マイクロハビタットモデル」と「移動経路モデル」で構成している。マイクロハビタットモデルは、季節ごとにコゲラ、メジロ、シジュウカラの指標種が好んで出現する環境、移動経路モデルは、都市緑地周辺で指標種を追跡し、鳥が好んで移動する環境をそれぞれ調査した結果を基に作成。鳥の行動パターンを実際の都市緑地での調査から導き出しているため、モデルとしての精度が高く、鳥が好んで訪れる緑地を設計できる。
 また、日本生態系協会の「生物にとって良好な生息地」に対する考え方を踏まえているため、生物多様性の保全や再生に貢献する取り組みを定量的に評価・認証するJHEP認証にも対応できる。
 マイクロハビタットモデルの設計支援ツールでは、モデルを基に計画する緑地を評価し、より鳥が好むレイアウトを実現することで生息を促す。一方、移動経路モデルの設計支援ツールでは、モデルを基に周辺緑地から計画値までの鳥の移動経路や移動難易度を予測し、往来しやすい緑地のレイアウトにより鳥を呼び込む。
 現在、都市緑地の設計では、自然との共生という観点から、生物を誘致する計画例が増えている。ただ、都市部の小規模な緑地を評価するモデルが少なく、動植物が生息できる質の高い緑地の設計が困難だった。
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