2015/02/19

【現場最前線】高さ6mのPCa化粧パネルで工期短縮 大豊JVの白子川整備

大豊建設・黒部工業JVが東京都練馬区大泉学園2丁目から東大泉4丁目までの区間で施工を進めている「白子川整備工事(その133)」が大詰めとなっている。閑静な住宅街での工事とあって、周辺住民からの要望を聞き取り、厳しい時間的な制約の中で工期短縮と騒音低減のための工夫を凝らした施工を展開している。

 同工事は、近郊の都市化に伴い、流域の保水・遊水機能が低下している一級河川白子川で、近年の局所的集中豪雨などによる都市型水害に備えて東京都建設局が進めている、1時間当たり50mm降雨対応の護岸整備工事の一環。
 既設の鋼矢板の護岸基礎を鋼管杭基礎に取り替え、幅員を50cm拡幅する。将来的には河床高を約2m掘り下げ、流下能力を高める計画だ。施工延長は66.6m。昨年4月に作業ヤード、作業構台の整備に着手した。
 住民からの要望を受け、平日は午後6時で作業を終了、日曜祝祭日は作業しないという制限のもとで、同8月から直径1.2m、長さ19.5-20mの鋼管杭56本の打設を開始。引き続き地盤改良、12月からは左岸側の護岸工事に入り、現在は右岸側護岸構築のため、河川内の掘削作業を行っている。工事完了は4月ごろを予定している。
 この間、工期短縮のため、護岸の化粧パネルにはPCa(プレキャスト)パネルを採用した。現場打ちの場合、パネルを積み上げるごとにコンクリートを打設し、積み上げた高さに応じて足場を組まなければならない。一方、6mの高さのPCaパネルを使用すればコンクリート打設は1回で済み、作業日数を15日程度短縮することができたという。

星恵輔管理技術士(左)と田中秀弥現場所長
現場で発生する騒音には防音シートで対応。また通常は近隣住宅への周知のために用いる振動計・騒音計を、作業ヤードに向けて装着した。現場所長である大豊建設の田中秀弥監理技術者は「工事に集中していると騒音への配慮を忘れてしまいがちだが、内側へ向けて数値を表示することで意識的に防ぐことができる」とその狙いを語る。
 現在の工事進捗率は約80%。残りは右岸工事のみだが、「4月まで無事故・無災害、工程厳守で、最後まで気を抜かずに終わらせたい」(田中氏)との意気込みの下、ラストスパートをかける。
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