東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年まであと5年である。昨年末に行われた総選挙で、アベノミクス政策が堅持されることも明確になった。いまだ実体が見えてこない成長戦略のこともあって賛否いろいろと取り沙汰されるが、一度決めた政策をブレずに粘り強く実行することはとても重要なことだ。物事を動かすエンジンは失ってはならないのである。(画像は本文とは関係ありません)
それはどうして? と問われると、これから訪れるであろう大きな大きなうねりに立ち向かっていかなければならないからである。現在の政権には、このうねりと対峙していく覚悟が少なからず感じられる。
今、日本を含めて世界中の全ての国や人々は、グローバル経済と国民国家との間に立ちはだかる利益相反という前代未聞の状況を前にしている。いや、もう始まっているといっても過言ではない。今や4Cと称される情報・資本・企業・消費者は、国家の枠組みを軽々と超えて、自由にしかもハイスピードで移動することができる。そして、多国籍であるグローバル企業には、特定の国家への帰属意識がない。税の一番有利な国で蓄財し、原材料や労働力などを一番有利な国から調達し、世界中で販売していくのが定石である。だから国民国家の側はたまったものではない。本来国内に落ちるべき富が、いともあっさりと海外に流出してしまうからだ。もちろん、これでは安定的な雇用確保など望むべくもない。
だから、いずれ私たちは選択を迫られることになる。グローバル経済側に立つのか? 国民国家の側に立つのか?
わたしなら、まずは国民国家の側である。これは決してナショナリズム的な発想から言っているのではなく、あくまでも戦略的な見地からの判断である。自らが母体とする国の社会や経済基盤が揺らぐようでは、わたしたち国民が世界で戦おうにもそれが根底から覆ってしまう。国民国家としての日本の基盤をしっかり固めた上で、成熟した先進国としての魅力と得意技を駆使して、グローバル立国の道に挑んでいくしかないとわたしは確信する。
わたしの会社がこれまでお付き合いした日本国籍の国際優良企業(すなわちグローバル企業)やその経営者の皆さんから見聞きした他の日本企業の方々は、幸い日本に軸足を置き、統括管理機構・知財・人財育成機能はいずれも国内に留め、生産と販売を海外の消費地に置く戦略を取っている。海外での生産販売の利益が、海外子会社を経由して配当や技術提供に伴う対価という形で日本の本社に廻ってくる。来たる近未来への対応は、先端企業では着々と進んでいるのである。さらに彼らは、世界に定評のある高度な品質管理手法や匠の技術による生産手法の「しくみ」と「やり方」自体を、売りものにすることはできないかと模索を続けている。例えば、海外ホテルブランドが日本国内のほとんどで採用している運営委託方式(マネジメント・コントラクト/MC方式)、すなわち運営ノウハウと主要人財のみを送り込みブランドによって集客を促すが、現地の施設や従業員および経営権は持たないような方式を、製造業などで導入する動きである。これまで純潔の日本と日本人だけで造り上げてきたメイド・イン・ジャパンから、日本発の人財や知財やしくみによって世界中の資本や人々が日本とともに価値を創造し、富を生み出していくようなメイド・ウィズ・ジャパンに軸足を変容していこうというのである。
ただ、先端企業の方々が活躍することで拡がっていく富(トリクルダウン効果)だけでは、日本全体を潤すまでには至らない。やはり前回記したようなインバウンド需要や今の設備投資機会を相乗的に組み合わせる必要がある。よくよく考えてみると、現在アベノミクスの恩恵を一番享受しているのは、他でもないこの建設業界であろう。ならば建設業界が国全体の成長戦略の礎を築いていかなければならない。それは、これまで箱モノだけに終始した過去を払拭し、事業全体や継続運営のノウハウまでを統合したトランス技術によって。建設業界から、社会全体を驚かすようなイノベーションが生まれてもよいではないか。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
それはどうして? と問われると、これから訪れるであろう大きな大きなうねりに立ち向かっていかなければならないからである。現在の政権には、このうねりと対峙していく覚悟が少なからず感じられる。
今、日本を含めて世界中の全ての国や人々は、グローバル経済と国民国家との間に立ちはだかる利益相反という前代未聞の状況を前にしている。いや、もう始まっているといっても過言ではない。今や4Cと称される情報・資本・企業・消費者は、国家の枠組みを軽々と超えて、自由にしかもハイスピードで移動することができる。そして、多国籍であるグローバル企業には、特定の国家への帰属意識がない。税の一番有利な国で蓄財し、原材料や労働力などを一番有利な国から調達し、世界中で販売していくのが定石である。だから国民国家の側はたまったものではない。本来国内に落ちるべき富が、いともあっさりと海外に流出してしまうからだ。もちろん、これでは安定的な雇用確保など望むべくもない。
だから、いずれ私たちは選択を迫られることになる。グローバル経済側に立つのか? 国民国家の側に立つのか?
わたしなら、まずは国民国家の側である。これは決してナショナリズム的な発想から言っているのではなく、あくまでも戦略的な見地からの判断である。自らが母体とする国の社会や経済基盤が揺らぐようでは、わたしたち国民が世界で戦おうにもそれが根底から覆ってしまう。国民国家としての日本の基盤をしっかり固めた上で、成熟した先進国としての魅力と得意技を駆使して、グローバル立国の道に挑んでいくしかないとわたしは確信する。
わたしの会社がこれまでお付き合いした日本国籍の国際優良企業(すなわちグローバル企業)やその経営者の皆さんから見聞きした他の日本企業の方々は、幸い日本に軸足を置き、統括管理機構・知財・人財育成機能はいずれも国内に留め、生産と販売を海外の消費地に置く戦略を取っている。海外での生産販売の利益が、海外子会社を経由して配当や技術提供に伴う対価という形で日本の本社に廻ってくる。来たる近未来への対応は、先端企業では着々と進んでいるのである。さらに彼らは、世界に定評のある高度な品質管理手法や匠の技術による生産手法の「しくみ」と「やり方」自体を、売りものにすることはできないかと模索を続けている。例えば、海外ホテルブランドが日本国内のほとんどで採用している運営委託方式(マネジメント・コントラクト/MC方式)、すなわち運営ノウハウと主要人財のみを送り込みブランドによって集客を促すが、現地の施設や従業員および経営権は持たないような方式を、製造業などで導入する動きである。これまで純潔の日本と日本人だけで造り上げてきたメイド・イン・ジャパンから、日本発の人財や知財やしくみによって世界中の資本や人々が日本とともに価値を創造し、富を生み出していくようなメイド・ウィズ・ジャパンに軸足を変容していこうというのである。
ただ、先端企業の方々が活躍することで拡がっていく富(トリクルダウン効果)だけでは、日本全体を潤すまでには至らない。やはり前回記したようなインバウンド需要や今の設備投資機会を相乗的に組み合わせる必要がある。よくよく考えてみると、現在アベノミクスの恩恵を一番享受しているのは、他でもないこの建設業界であろう。ならば建設業界が国全体の成長戦略の礎を築いていかなければならない。それは、これまで箱モノだけに終始した過去を払拭し、事業全体や継続運営のノウハウまでを統合したトランス技術によって。建設業界から、社会全体を驚かすようなイノベーションが生まれてもよいではないか。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
0 コメント :
コメントを投稿