日本建築家協会近畿支部(JIA近畿、松本敏夫支部長)は、第13回関西建築家大賞の審査結果を発表した。受賞者は長坂大氏(Mega、京都工芸繊維大教授)で、「宇治のアトリエ」=写真=と「上賀茂の家」が審査対象となった。11月13日に奈良基督教会で開く支部大会の中で表彰。審査委員を務めた横河健氏(横河設計工房、日大教授)、松本支部長とのてい談も開く。
審査対象となった「宇治のアトリエ」(京都府宇治市、木造平屋建て97㎡)は平屋のアトリエで、平等院鳳凰堂を背後に控え静かなたたずまいの空間をつくり出している。「上賀茂の家」(京都市北区、木造2階建て延べ118㎡)は、急斜面地に立つ狭小住宅。鉄骨杭でつくったステージの上に和風建築を建て、大きな開口部で眺望を確保しつつ、背後に生い茂った緑も取り込んでいる。
「上賀茂の家」 |
27日に開いた会見で長坂氏は「上賀茂の家のような困難な地形でのプロジェクトは得意としているが、宇治のアトリエの方は地形的特徴がなく、比較的苦手な分野だった。得意なものだけでなく苦手なものも評価していただき大変うれしい。生まれは神奈川県だが、キャリアのほとんどは京都であり、よそ者でありながら『関西』を冠した賞をいただくことができたことに大きな喜びを感じる」と話した。
長坂大氏 |
松本支部長は「上賀茂の家は、非常にきびしい地形に対してさりげなく何も考えていないようで、実は緻密に考え抜かれている非常に高度な作品だ。悪条件の中で導き出した答えは、これからの日本の建築を考える上でも大きな社会性を持っている」と賛辞を贈った。
表彰委員長の竹原義二氏(無有建築工房)は「17人から応募があり、6人の作品を現地審査したが、甲乙付け難かった。斜面地での作品が上賀茂の家を含めて3件あり、悪条件に対して出す答えの違いが比較できて面白かった」と述べた。
会見を欠席した横河氏は「2つの作品には建築家の思い、集中力、こだわり、解決に導く決定力の差を感じたが、総合点は高く、過去の仕事や社会貢献度も含めて、受賞するにふさわしい建築家と判断した」と講評を寄せている。
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