戸田建設は2月16日から21日までの6日間、東京都千代田区のマーチエキュート神田万世橋イベントスペース「佇マイ」で、第3回戸田建設設計文化祭を開いた。会期中に一般、学生など過去最高となる約2000人が来場し、同社の取り組みに理解を深めた。建築設計統轄部の社員自らが企画から運営まで手掛けたこのイベント、責任者の岡田幸宏同部設計管理部技術課長は「建築は一般的になってきており、親しむ機会も多いが、より踏み込んだ領域を知ってもらいたい」と狙いを話す。
設計文化祭は2007年の第1回、12年の第2回に続き3回目。今回は「トコトントダ」をテーマに、近年設計した京橋トラストタワーや三原ビルディングなど代表的な23プロジェクトの概要を展示した。このほか、同部社員330人と価値創造推進室の25人の計355人が仕事やものづくりの原動力となっているものをモチーフに作製したディスプレーも展示した。
壁一面に設置した個人製作 |
プロジェクトは、その建物が人、建築、都市のどこに焦点を当てて検討されたかを分類した。パネルや模型、映像のほか、特に注力して検討したポイントを紹介するテーブルも設けた。
個人製作展示では「トコトンのみなもと」をテーマに、家族や趣味、好きなものなど、仕事の原動力となっているものを標本風に作製し、展示した。徳久光彦同部計画設計部長は、自身の建築の原点に高校入学前の1970年に大阪万博で各国のパビリオンを目にしたことを挙げ、太陽の塔を中心に据えた立体的な展示を製作した。「われわれの世代は中学生や高校生のころに大阪万博を見たことがきっかけで、建築の道を目指す人が多かった」と作品に込めた思いを語る。
徳久光彦同部計画設計部長の作品 |
設計文化祭は、20代の若手社員18人が組織する実行委員が中心となって開いた。15年6月ごろから会場探しを始め、9月に本格始動した。全国の支店から個人製作が集まり、展示設営や開催中の運営もすべて設計部員が担当した。実行委員を務めた同部計画設計部の平田拓也さんは「トコトントダのテーマを決めるのに2カ月かかった。テーマが決まらないとイベントの方向性が定まらないので、一番苦労した」と振り返る。ポスターのデザインは入社2年目の社員が担当。カタカナの「ト」が大きな「ト」を構成しているデザインで、少し傾いていることで「人」にも見えるところがポイントだという。
初日、視察に訪れた今井雅則社長は「世界に活躍する自立した設計集団になってほしい。設計文化祭がその第一歩になるかもしれない。社内に多様な人がいることや仕事への情熱が来場者に伝わるのではないか」と感想を語った。
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