2015/05/17

【世界屋上緑化会議】10月に日本初の国際会議 主催のWGIN NAGOYA菊池佐智子氏に聞く

屋上、壁面、特殊緑化をテーマとする国際会議「WGIC(世界屋上緑化会議名古屋大会2015)」が、日本で初めて10月14日から3日間、KKRホテル名古屋などで開かれる。カナダ、ドイツ、フランスなど23カ国から都市緑化の研究者や実務者などの専門家の参加が予定されており、屋上緑化や関連技術の意見交換が期待される。

 主催するWGIN NAGOYA(代表・輿水肇都市緑化機構理事長)で実行委員を務める山梨県富士山科学研究所研究員の菊池佐智子氏は、「海外の参加者と交流することは、日本の技術力を高めて海外に紹介する機会になるはずだ」と力を込める。
 日本では、都市緑化がヒートアイランド対策やCO2固定という目的のために活用されてきたのに対し、北米・欧州は雨水を貯留して都市の水環境を健全化する手段として造園やランドスケープが使われてきた。
 しかし、「局所的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)のような異常気象が増加する中で、土壌や植物で雨水を一時的に貯めて汚水・排水処理の負担を減らす技術は日本でも必要になる」とみている。
 都市緑化を進める大きなメリットとしては、「人が“みどり”から受ける心地よさ」があるという。ヒートアイランド対策やCO2固定化といった効果を越えて、地域や都市全体の生活の質向上が期待できると考える。
 「これまでの日本は都市環境問題に巨額の費用を掛けた土木・建築的な手法で対応してきたが、その意識を変えていかなければならない」とも指摘する。
 基調講演では、先進的な取り組みを行うドイツや北米からの事例紹介のほか、フランスから緑化業界の最新事情、スペインからヨーロッパにおける緑化と職能についての講演を予定している。
 また、今回は初めて募集テーマに「生物多様性」を取り上げ、東京都市大の涌井史郎教授が都市緑化の都市生態系に与える影響を紹介する。研究に関しては、実務者や研究者を中心に約50組が発表する予定だ。
 菊池氏は、「若手研究者にとって国際会議で発表する貴重な機会であり、企業にとっては新しいビジネスを生み出すチャンスになる。海外の方が何に関心を持っているのかを知り、日本のどこに興味を持つのかを知るきっかけにしてほしい」と語った。
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