2014/11/02

【BIM普及】無料講習会や学生コンペ開催、産学官に働きかけ とちぎ建設技術Cと栃木事協

3次元モデルを活用した建築生産システムとして注目されるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に対し、地方の関心が高まっている。栃木県では、とちぎ建設技術センターと栃木県建築士事務所協会(佐々木宏幸会長)が連携し、無料講習会やBIM学生コンペなどを開催、BIMユーザーの育成を推進している。県や市町村の営繕担当職員を対象にした講習も開くなど、産学官の各方面に働き掛け、県内での普及を促進する考えだ。写真は「おらがまちフェスティバル」でてい談した池田氏(左)、隈氏(中央)、内山氏(右)。

 3次元モデルデータを活用して設計、施工、維持管理などを行うBIMは、業務効率化、発注者など関係者間のコミュニケーションの向上などに効果を発揮する。大手設計事務所やゼネコンなどを中心に導入が進んでいることを受け、地域の設計事務所、建設会社でもBIM導入を検討する機運が高まりつつある。
 栃木県建築士事務所協会では、2013年度に建築家の池田靖史氏によるBIM講演会を開催したほか、BIMワーキンググループの活動を活性化させるなど、会員に対する普及・啓発活動を本格化させている。
 この動きに合わせ、とちぎ建設技術センターもことし3月に県内の学生や建築設計事務所に対してBIMの普及を推進することを決定。BIMソフトと、対応するパソコンを導入し、大学生を対象にした無料講座を開設した。
 さらに、BIM促進の起爆剤とするため、19日に宇都宮市で開いた「おらがまちフェスティバル」に、建築家の隈研吾氏、新国立競技場を手掛けるザハ・ハディド・アーキテクツの内山美之氏、慶應大学教授でIKDS代表の池田靖史氏を招き、「世界的建築家の最前線デザインとその技術」をテーマに建築設計におけるBIMの世界的潮流を紹介。また、隈氏を審査委員長にした「マロニエ学生BIM設計コンペティション」も実施した。
 一方、県や市町村の営繕担当者にBIMの情報を提供するため、栃木県公共建築連絡協議会の中で、関東地方整備局宇都宮営繕事務所による出前講座を開き、同局が大型施設でBIMを導入した前橋地方合同庁舎の事例を紹介。将来的に発注業務に生かせるよう支援していく。

■「おらがまちフェスティバル」特別企画 隈氏、内山氏、池田氏が特別講演

 とちぎ建設技術センターは、宇都宮市のマロニエプラザで開いた「おらがまちフェスティバル」特別企画として、建築家の隈研吾氏、内山美之氏(ザハ・ハディド・アーキテクツ)、池田靖史氏(慶應大学教授、IKDS代表)を招き、「世界的建築家の最前線デザインとその技術」をテーマに、BIMについて特別講演を行った。また、「マロニエ学生BIM設計コンペティション」の表彰式を開いた。
 特別講演で隈氏は、日本の大学教育におけるコンピューターを活用した設計手法について、「世界の主流から大幅に遅れている」と指摘。自身が手掛けた「GINZA KABUKIZA」を引き合いに、「最も伝統的な建築と思われる歌舞伎座もBIMがなければ復元できない。世界はBIMの方向に進んでおり、この道具を使いこなす必要がある」とし、BIM教育に力を入れる重要性を訴えた。その上で「事務所の規模に関係なく世界とつながり、さまざまにコラボレーションできるBIMは、地方の設計事務所にとって大きな武器になる」と話した。
 その後、内山氏、池田氏とてい談した。
 また、隈氏が審査委員長となる「マロニエBIM設計コンペティション」の選考結果を発表した。
 隈研吾賞(最優秀賞)は山本尚平さん(芝浦工業大学)、内山美之賞は中村達也さん(芝浦工業大学大学院)、池田靖史賞は古賀直人さん(宇都宮大学大学院)、とちぎ建設技術センター理事長賞は中岡進太郎さん(同)、栃木県建築士事務所協会会長賞は冨谷亮介さん(東京都市大学)が受賞した。
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