ネット通販で利用されるメール便のすべてを入れることができる大型ボックスは縦35cm、横37cm、厚さ3.5cmのサイズ。送り先が不在の場合、従来の郵便ポストでは投入口が狭く、65%の荷物が再配達を余儀なくされている。「素早く確実に商品を届ける手段として、投入口の大きな次世代ポストは貴重な物流インフラになる」とアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は強調する。
笹川ナスタ社長(中央)、チャンアマゾン社長(左)、髙橋日本郵便社長(右) |
ナスタの次世代ポストは戸建て住宅用『Qual(クオール)』と集合住宅用『D-ALL(ディーオール)』の2種類。マンションへの販売実績で45%のシェアを誇る同社は年間30万戸分のポストを出荷している。笹川社長には「強みの集合住宅向けでは出荷のすべてを次世代ポストに切り替えたい」との強い思いがある。
ディーオールは荷物を入れて前から取り出すタイプと後ろから出すタイプの2種類。価格(税別)は前出しが1戸当たり1万1000円から、後出しが1万2000円から。ポストサイズは従来のままだが、投入口は左右に1cmずつ広がった。「荷物の65%がポストに入らない状況を真摯に受け止め、それを改善するのがわれわれの使命。マンション向けポストの投入口を広げるまでに、30年もかかってしまった」(笹川社長)。
背景には、マンション特有の制約がある。セキュリティーを意識し、投入口を広げることに対する懸念がユーザー側にあるほか、事業者サイドではエントランスを少しでも広く確保するためにできる限り小さなポストサイズを要求するケースが多く、よりコンパクトで低価格の商品が売れ筋になっていた。
抜き取り行為を防ぐソフトダンパー機能 |
2016年3月末までを期限に集合住宅への設置補助をスタートさせた日本郵便では基準を定め、高さが12cm以上のポストで投入口から縦34cm、横26cm、厚さ3.5cmの郵便物が収納できれば補助対象とし、期間中に20万戸への補助を目標付ける。高橋社長は「たとえ20万戸の設置が完了しても、日本全国で見れば再配達解消の目に見える効果とまではいかないが、状況を見て次のステップを踏みたい」と考えている。
ナスタは、次世代ポストを足がかりに、マンションのシェアを15年度末に60%まで拡大させる戦略図を描く。大和ハウス工業が東京都世田谷区の戸建て分譲住宅に採用することも決まり、好スタートを切った。笹川社長は現在3分の1にとどまる既存ポストの取り替え需要への対応にも「スピード感を持って挑む」と力強く語る。
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