2014/11/06

【担い手】「次世代の確保を」建設系以外の採用拡大 北陸地整と青年会議が意見交換

北陸の地域建設業でも若年者雇用で建設系以外の学科からの採用が拡大していることが、新潟市で4日に開かれた北陸地方整備局(野田徹局長)と北陸建設青年会議(岡田康晴会長)の意見交換で明らかになった。野田局長は「他産業でも(新卒採用を)専門分野にこだわらなくなっている。人材の産業間獲得競争に関係者挙げて取り組まなければならない」と危機感を表わし、先に設立した北陸建設界の担い手確保・育成推進協議会をベースに活動を強化していく必要性を強調した。

 高校普通科など建設系以外の学生採用拡大は、意見交換に出席した青年会議各メンバーが自社事例として相次いで紹介した。建設系の学生数が少ないことを踏まえ、「技術者に育成していくことを前提に採用した」「採用後に適正を判断し、技術者にすることもある」とのスタンスだ。「将来を見越していま、採用しておく」「次世代を確保しておきたい」など、足下の技術者不足問題とは別に、社員の年齢構成を適正化し、技術継承などを円滑に進めようという狙いがうかがえる。
 こうした採用の現状に整備局側も大きな関心を示し、「それほど土木系学生は不足しているのか」「教育機関当局も、建設企業が将来を見据えて建設系以外へも採用枠を広げている実態をよく把握していないのではないか」などと発言。
 一方、野田局長は「高校生が卒業後の進路を決める際、他産業は早めに説明にくるが、建設業は出遅れていると指摘された」と、教育機関からの提言を紹介し、「雇用の流動化が進み、産業間で人材の取り合いになっている。学校側へのアプローチを前倒しするなど、教育行政とも連携して皆で取り組んでいかなければならない」と呼び掛けた。
 同日の意見交換は担い手確保と三方良しの公共事業改革がテーマ。担い手問題をめぐってはこのほか、青年会議側が現場見学会や出前講座などの入職促進に向けた活動を紹介し、「発注者としても高校への出前講座などで建設界の魅力や誇りについて説明していただけないか」と提案。これに対し野田局長は「ぜひ一緒に取り組もう。国、県には積極的に声をかけてほしい」と応えた。
 一方、三方良しをめぐっては、整備局が今年度から試行する予定の工程調整部会に関連し、青年会議メンバーから「工程の共有化を発注者に提案しても受け入れてくれない」という問題が提起され、野田局長は「工程のクリティカルをわれわれ発注者はよく分からない。受注者から教えてもらうのはありがたいことだ。受発注者が互いに弱い部分を補い合うことが大事だ」とアドバイス。また、「三方良しの取り組みに対して発注者の理解が得られない」との不満にも「三方良しは発注者と一緒に取り組まないとできないというわけではない。(三方良しのベースである)TOC(制約理論)を使って施工者(の社内)だけで取り組んでも効果がある」と説明。「原点は現場の収益を上げること。それによって企業の足腰を強化すれば、災害時に活躍でき、行政にも住民にとっても良い結果につながる」と、バージョンアップした三方良しのあり方を説いた。
 意見交換には整備局から野田局長を始め、小口浩企画部長ら幹部7人、青年会議は石川、富山、新潟3県から役員ら15人が出席した。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【JIA東北】メディアテークで建築学生テクニカルセミナー 12月3日、入場無料 日本建築家協会東北支部(JIA東北、辺見美津男支部長)と日本建築学会東北支部建築デザイン教育部会(櫻井一弥部会長)は3日、仙台市青葉区のせんだいメディアテークで建築学生テクニカルセミナーを開く。  10月17日に開かれた第18回JIA東北建築学生賞で入選した2作品を対象に、JIA東北支部協力会会員企業が技術・商品を提案するほか、ショートレクチャーやブース展示なども行う。また、櫻井氏をコーディネーターとするシンポジウムでは、藤野高志生物建築舎… Read More
  • 【建設業イメージアップ】高校では初めて! 国交省らが千葉県立東総工業高で説明会  国土交通省や全国測量設計業協会連合会、全国地質調査業協会連合会、建設コンサルタンツ協会で編成する「建設関連業イメージアップ促進協議会」は3日、建設関連業イメージアップ説明会を千葉県立東総工業高校(旭市)で開いた=写真。高校での開催は初となる。協議会の構成員らが建設科2年生35人を前に、プロジェクターを使いながら仕事内容などを紹介した。  冒頭、国交省土地・建設産業局建設市場整備課の水草浩一氏が「土木分野での建設関連業の役割」を解説した。 そ… Read More
  • 【高校生建築コンペ】東建会長賞は橋本君の「集う家」(都立工芸高) 東建 東京建設業協会(飯塚恒生会長)は、東京都都市整備局との共催により新宿駅西口広場イベントコーナーで6日まで開いた東京都建設系高校生作品コンペティション2014の東京建設業協会会長賞に、都立工芸高校インテリア科3年生、橋本多聞君の「集う家」(模型部門)=写真=を選んだ。5日、飯塚会長が会場を視察し、「良い作品がたくさんある。若い人に見てもらって、興味を持ってもらえれば」と話した。  今回は建設模型、製図、実習、家具、工芸、ポスターの6部門に、1… Read More
  • 【土木学会】空港ビルが孤立! その時どうする? 「修羅場」を教材に模擬授業 「こんな時、どのように行動しますか」--。土木学会建設マネジメント委員会の建設ケースメソッド普及小委員会(委員長・木下賢司プレストレスト・コンクリート建設業協会専務理事)は3日、仙台市青葉区のアエルでケースメソッドを活用した災害対応マネジメント力の育成に関する模擬授業を開いた=写真。東日本大震災の津波で約1700人が孤立状態となった仙台空港ターミナルビルの状況を疑似体験し、伊藤克彦同ビル社長の立場で避難者の安全確保対策などを考えるとともに、… Read More
  • 【体験学習】下館北中学生50人が校倉工法で倉庫建設、引渡式迎える CCI茨城 茨城県魅力ある建設事業推進連絡会議(CCI茨城)は、2014年度建設業体験学習を筑西市立下館北中学校で実施した。10月1日から校庭の隅に校倉(あぜくら)工法で木造倉庫「北の小屋(えき)」を2年生50人で建設、1日に関係者が出席して引渡式が行われた。木造倉庫の建設・提供は1995年度から行っており、同校で22校目になるが、校倉の倉庫は今回が初めて。  木造倉庫の建設には、茨城県建設業協会の青年部組織「未来協議会」県西地区会が中心となって取り組… Read More

0 コメント :

コメントを投稿